鬼姫は月夜に恋ふ～闇にゆらめく紫焔の光～（仮）

（男は皆、自分より弱いおなごが好きなのじゃ）

鬼たちが暮らす鬼雅島（おにがしま）で最強の鬼姫・紫焔（しえん）。
強すぎる所為で、婚約者に浮気をされ、自ら婚約を破棄。
もうこの鬼雅島に、自分を愛してくれる強い男はいない――。
そこで、かつて鬼を退治したという源頼光を探し、人間たちが暮らす大倭国（やまとのくに）を目指す。

「付き人は不要。わらわが一等強いゆえ」

しかし、長い歳月が経っていたため、源頼光は既に亡くなっていた。

天都で橘常則という公卿に拾われて、猶子となり、宮中へ。
正体を隠しながら伴侶を探そうとする紫焔は、その美貌と毅然とした態度が宮中で評判となっていく。

（女は、大人しく男に守られておらねばならぬのか？）

宮中での女の扱いに納得がいかないものの、愛される喜びを知った紫…続きを読む