鬼姫は月夜に恋ふ~闇にゆらめく紫焔の光~

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『御伽草子~源頼光と四天王~』

 むかしむかし、ひの神がおわします大倭国やまとのくにに、悪しき鬼が棲んでおりました。


 鬼は、若い娘をさらい、人を喰らうなどの悪事を働き、人々を困らせておりました。


 そこで、時の天子さま(※)は、源頼光みなもとのよりみつという男に、鬼の討伐とうばつを命じます。


 源頼光は、国一番の強者で、四天王と呼ばれる四人の屈強な配下たちがいました。


 天子さまは、言霊ことだまの力を使い、源頼光らに力をお与えになりました。


 一つは、鬼を切ることの出来るつるぎを。


 一つは、鬼の牙から身を守ることの出来る鎧を。


 一つは、どんな怪我も治してしまうという秘薬を。


 一つは、人に化けた鬼の正体を映すことが出来る鏡を。


 一つは、食べれば力が湧いてくるキビ団子を。


 そして、源頼光と四天王は、鬼を退治するため国を旅をして回りました。


 それは、長い長い旅になりました。


 やがて鬼たちは、追い詰められて海を越え、とある島へと逃げてゆきました。


 源頼光らは、鬼を追い海へ出て、鬼の棲む島へと向かいました。


 これが最期の戦いです。


 鬼との戦いは、熾烈しれつを極めましたが、天子さまから与えられた五つの力が彼らを助け、無事に鬼を退治することが出来ました。


 こうして、源頼光と四天王の手により、大倭国に平安が訪れたのです。




(※「天子」……ひの神の血を引き継ぐ神子。大倭国の王。)


          『御伽草子~頼光と四天王~』の概略

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