勇者の真実②

この僕ラングルドが16歳になって、少年院から出所した春のこと。


僕の前に魔王が現れた。



『俺と一緒に新しい世界秩序を創らないか…?』


魔王はそう言っていた。


僕は新世界秩序がその時はなんだか分かっていなかった。


しかし…話を聞くにつれて、僕はその新世界秩序に興味を持つようになった。



ー優しい人が誰も苦しまない…誰も悲しまない…新しい世界秩序。


魔王は世界を滅ぼすことによって、調律者の権能を全て手に入れ、そんな新世界を創ろうとしているようだ。


もちろん、優しい人の魂は、死んだ人も含めて、みんなその新世界で転生する。



まあ、記憶を無くして…だが。



それでも、僕は構わなかった。


『魔王。僕はお前と手を組む。僕が勇者となり、そして終末獣となり、世界を滅ぼさした暁には、調律者の権能の全てをお前に渡す。それで良いか?』


『ああ!もちろんさ!!』


ーまあ、もちろん…僕は調律者の権能を魔王に渡すつもりは元から無かった。


何故なら、奴は本当の意味では信用できない。


たまたま利害が一致しただけだ。


だから…僕は土壇場で魔王を殺し、最終的に僕が新世界の最高神となることが僕の最終目的だ。


そして、新世界秩序の頂点となった僕の力で…優しい人達が苦しまない世界を創り上げる。


それこそが僕の理想郷である。


(…………)


そして、今…僕はそれを今実行している。



『ぎゃああ!!』


『やめてええ!!!!』


終末獣となった僕は抵抗する人々に容赦なく、終末弾を放った。


そして…この世界に爆音が響き、辺りは見渡す限り全て焦土になった。




これで人類の10%は死んだ…のかな?魔王の話が本当なら。



だが、これも仕方ない。

受け入れるしかない。


何故なら…


こうでもしなければ、人々は幸せになれないのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る