私の嘘と君の涙⑥

私の走馬灯、終わっちゃったなあ。


私…もうすぐ世界から忘れられるのかなあ?



そう思いながら、私は一人…真っ白な空間にいた。


だけど…懐かしい声がした。


『マーシャ。待っていたよ』



この…声は?


私は後ろを振り向いた。


すると、涙がポロポロ落ちて…止まらなかった。


『ロイド?…ロイドなの…?』


『ああ。そうだよ。久しぶり!マー…シャ…?』


私はロイドを抱きしめた。


強く抱きしめた。


強く、強く抱きしめた。


もう離れてしまわないように。


君が私の前からいなくならないように。


『ロイド!!ロイド!!』


『マーシャ…俺』


『私!!ずっとロイドに会いたかった!!私ね!

ずっと頑張ったんだよ!色々あったけど一生懸命生きたよ!!だからね!ロイド!!』



『私!!幸せに生きれたよ!!!』


『マーシャ…』


『君は私の幸せを奪ったりなんかしてない!!私は君に出会えて!幸せだったよ!!』



『うん。マーシャ…ありがとう』


『ロイド…!』


『だけど…俺はもう行かなくちゃ』



『…なんで?』


『俺が君を忘れる前に、君が俺を忘れる前に、俺はもう行かなくちゃいけないんだ』



『ロイドぉ!』


『マーシャ…マーシャ…!』


『私!ロイドのこと大好きだよお!!』



『俺も…!俺も大好きだ!!』



こう言い残して、ロイドは消えた。



ロイドは………




…?


あれ…


ロイドって…








誰?


(………………………)

場面は現実に戻る。



『エリオット・テンペスト…!君はなかなかやるではないか!この俺相手に4分ももちこたえるとは!!』



『はあ…はあ…』



『だが…大魔神バベルが俺と相手したくてウズウズしながら待っているからな。そろそろ…終わりにしようか』



『さらばだ!エリオット・テンペスト!!』



魔王はエリオット・テンペストに魔剣を突き刺そうとする。


しかし、次の刹那…魔剣が。






壊れた。




砕け散った。



『…え?は??なんで??』




魔王は困惑の表情を浮かべる。



魔王は何が起こったか分からないまま、前を見る。





そして…そこにいたのは。



意識を失っていたはずの。


エミール・ハーヴェストだった。




そして…そこで魔王は全てを理解した。



『エミール・ハーヴェストの英雄の力が覚醒したか!!だが!!!』


『ここまでとは聞いてないぞ!!!こんなの!!除魔の力ってただのチートじゃねえか!!!インチキだ!!ズルだぞ!!俺の魔剣を返せ!!』


『魔剣を返せ…?なら…!マーシャを返せよ!!!!!魔王!!黒神!!そして…!大魔神バベル!!』


魔王は首をかしげる。


『マーシャ…?誰のことだ?…まあ、良い!こちらには大魔神バベルがいる!!』



エミールは魔王を鋭い眼光で睨みつける。


『大魔神バベルだろうが!!魔王だろうが!!黒神だろうが!!誰でもかかってこい!!俺は絶対に!!マーシャを助けに行く!!!』



ーこうして、この世界の命運を賭けたエミールの最後の戦いが始まった。



そして…この最終決戦を後世の歴史家たちはこう名付けた。


"絶対神域千年血戦"と。

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