私の嘘と君の涙⑤
初めて出会った頃のエミールはとても優しい男の子だった。
『君は…?始めてみる顔だな』
『私は…マーシャ』
『俺はエミール・ハーヴェスト!!よろしくな!!』
私達はその冬祭りでいろんな屋台や、催し物を回った。
私達はいつの間にか、すごく仲良くなっていた。
そして…冬祭りが終わるとき。
雪がシトシト降る中…
私はエミールに言おうとした。
私がもう既に死んでるってこと。
今の私はこの世に未練がある霊体に過ぎないってこと。
『エミール。あのね』
『マーシャ…どうし…た?』
『私ね』
『マーシャ?』
『私』
私は『私…エミールのこと騙してた』って言おうとして、『私…エミールのこと』って言った。
すると、エミールは途端に真剣な目をして言った。
『マーシャは…俺のこと…』
『え?エミール…?』
『いや、やっぱなんでもない』
『私…』
『俺…実はマーシャのこと』
その次の瞬間…
私達の村の近くにある森で爆発音が聞こえた。
『エミール!!この爆発音はいったい…!!?』
『この感じ…中級魔族が数体いる』
『そんな!それじゃあ!!この村は!!エミールは!!!』
『大丈夫。マーシャ』
『え?』
『俺。結構強いから』
エミールは腰の鞘から剣を抜き、爆発音がしたところに走っていった。
『エミールゥゥ!!!!!』
私は叫んだ。
また、死ぬ。
私の大切な人が。
私の……
いや!!そんなことはもうさせない!!!
私がエミールを守るんだぁ!!!
私は爆発音のした方向に走り出した。
しかし…すぐに足を止めた。
何故なら、エミールはその方向から何事もなかったかのように帰ってきたからだ。
そして…言ってくれた。
『あのさ、マーシャ。俺…結構強いから。だから、君が危険になったら絶対に助けるよ。約束する。俺は君を守る。だからさ。マーシャ』
『これからもよろしくな』
その瞬間、私はエミールに抱きついた。
この人なら…私の前世の未練を解決してくれると思ったから。
そして…その未練がなんなのかがようやく分かった。
私はロイドにあの世で言ってあげたいんだ。
大丈夫。私は幸せに生きれたよって。
だから…たとえ霊体でも、後悔のないように生きよう。
マーシャ・アドミニストレーターとして幸せに生きよう。
そう決意した。
ーこうして、私達はそれから2ヶ月後、付き合うことになった。
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