キル・ユー　～俺の恋人は、世界に拒絶された「怪物」だった～

1999年、世紀末。フリーターの陸斗は、テレビのニュース速報で「国民的女優・青木遥の死」を知る。だが、画面に映し出されたその顔は、今まさに陸斗の隣で寝息を立てている恋人・遥その人だった。
「私ね、もう死んでいるの」
　死体となった彼女と過ごす奇妙な日常は、大晦日の夜、突如として崩壊する。世界は白く塗り潰され、陸斗が次に目を覚ましたのは、遥の血（聖血）を啜って人々が生き永らえる、狂った未来の「魔術電脳都市」だった。
​　都市の心臓部として搾取され続ける遥。彼女を救うために一万回のループを繰り返し、絶望した末に「彼女の死」を望むようになった未来の自分（魔王）。
　だが、陸斗は選ばない。清らかな救済も、諦めの死も。
「聖女なんて廃業だ。俺たちは『怪物』になって、このふざけた世界を食い尽くす」
　こ…続きを読む