降臨

魔王はマーシャの前に立つ。


そして、マーシャの額を冷や汗が伝う。




ーこの数日の間に死地をくぐってきたマーシャは理解していた。


この男は生物としての格が違うということを。




そして、魔王は魔剣を構える。


『では、いくぞ。マーシャ・アドミニストレーター。俺を楽しませろよ?』



そして、それに応じてマーシャも杖を構え、禁忌の術を使おうとする。


ー禁忌の術とは、マーシャの家に伝わるとある場合を除いて、絶対に使ってはならないとされる魔術の総称である。




そして、そのとある場合というのは…


今だ。



ー私は大切な人を守る!!


だから…お父さん!お母さん!力を貸して!!


『顕現せよ!!"大魔神バベル"!!』



そして、世界は雷鳴とともに、暗雲に包まれた。



その雷鳴の中…大魔神バベルは現世に降臨した。


魔王は手を叩きながら、愉快そうな表情をした。


『なるほど!!来たか!!この世界の"七神"のうちのひとつ!!大魔神バベルが!!』




そして、遠くにいるヘンリーは明らかに動揺していた。


『おいおい!!あれはナシだろ!!だってあれは…!!"七神"のうちのひとつの…!!大魔神バベルじゃねえか!!!』



そして、バベルはマーシャに問う。


『貴様…我を呼んだ対価はどう支払う…?』



『そんなもの決まっている。それは……』



ーごめんね。エミール。


私ね。


もう君と一緒にいられない。




『私の命だ』




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