復讐③

私の彼氏のエミールは2人の刺客の攻撃によって瀕死の状態になってしまった。


確かに、私もその刺客の攻撃で少しだけ傷を負った。


だけど、エミールの傷に比べれば…大したことはない。


エミールのことが今はただ心配。


『エミール…!!エミール…!!!』


私はエミールの名前を何度も呼ぶ。


だけど、反応は無い。


エミールのに傷はとても深かった。


中でも一番酷かったのは右腕だ。


エミールの右腕は銀髪の戦士の剣で斬られて、もうない。


もうエミールの右腕は戻らない。


私はエミールの無くなってしまった右腕の付け根を見ながら、涙をポロポロと落とした。





すると、そんな私を見かねた"今回の戦いの恩人"にして私達の"新たな仲間"の少年が私の肩をポンポンと叩き、話しかけてくれた。


その緑髪の少年の名前はエリオット・テンペスト。


エリオットは私達を転移魔法で近くで逃がした後、自らも敵の虚を突くことに成功して、今この町の病院にいるわけらしい。


ーにしても、私達はツイてる。


何故なら、命の恩人に二人も出会えたのだから。


『礼なんかいらないよ。俺も勇者に恨みがあるからね』


『うん。ありがとう…エリオット。私…!私!!エミールのことが心配で!!』


『一流の回復術士の手術を終えた後だ。いずれ目覚めるはずだ。きっと』


『うん。だよね。きっと…そうだよね』


『それより今はあの勇者の刺客2人とどうやって戦うのかを考えよう』


私は頷いた。


(………………………)

私達はその次の日に、回復術士や医師の人達から呼び出された。


私達は席に座った。


すると、みんなの顔がとても重たいのがわかった。


それから、数分の沈黙が続いた。



…何かあったのかな?


私は胸が締め付けられる思いでその沈黙を待つ。


すると、そのうちの一人が沈黙を破り…




言った。








『大変申し上げにくいのですが…エミール・ハーヴェストさんは…もう既に死んでいます』


『え…?』


『すみません!!全て私達のせいです!!貴方がたには真実をつたえるべきだった!!なのに!私達は!!私達は!!』



…え??


エミールが……


死んだ…??














『前を見ろ!!何だあれは!!?』


『うわあ!!逃げろお!!!』



『見ィつけた。マーシャ・アドミニストレーター』


それから突然、病院の壁が壊れた。


そして、現れたのは勇者からの刺客のあの二人。


『お前の旅はここで終わる』


『安心して。私達が楽に殺してあげるから』


殺す……?


エミールは死んだ…??


死んだ…??


死………………







そっか。


分かった。


エミールは死んだんだ。


『殺してやる…』


『………………』


『殺してやる…!』


『殺してやる殺してやる…!!』


『お前ら…全員……皆殺しだ…!!』


『構えろ。来るぞ』


『ぶっ殺してやる!!!エミールを!!!返せええええええ!!!!』


私は杖を構える。


『敵を貫けぇェ!!!錬金魔法!!"ダイヤモンド・スピン"!!!!』



すると、奴らは吹っ飛んで、病院から落ちていった。


『やった…の…?』




『その程度か…これでは期待外れだ』



嘘…


『こんなのじゃ私達の命には届かないよ』


殺せてない…!!!


『少しは痛かった。そこは褒めてやる。…じゃあ、俺が殺してやる』


嫌だ。


私は!


私は!!


『死ね』


『やめろお!!転移魔法…!!』


『させないわ。私が口を覆っておくから。…それとも舌を抜かれたい?エリオット・テンペスト』


『くそ…!逃げろ…!!マーシャ!!』


私の足はガタガタ震えて動かない…!!


なんで!!


動け!!


私の足!!


私の前にいるこいつらは!!


私の大好きな人を殺した復讐相手なはず!!!


なら!!


動け!!


動けえ!!!


『この剣で終わらせてやる。自己流剣技"ミカヅキ"』




動けえええええええ!!!!









ーその次の刹那、私の目の前に剣が振り下ろされた。


私は死んだ。


そう思っていた。


でも、違った。


何者かによって剣は防がれた。


『生きていたのか!!?貴様ァ!!!』


生きていた…???


そう思った私が前を見ると、そこには…






エミールがいた。


『エミー…ル?』


信じられなかった。


死んだって思ってたから。


『持たせたね。マーシャ』


『エミール…!!エミール!!』






『なるほど。お前…右腕と自分の命を禁忌の術で復活させたな』


『ああ。そうだ。お前らを殺すためにな』


『でもその右腕じゃあ、まるで…どちらが堕天しているか分からないな。それに禁忌の術を使ったならもうお前は…』



『うるせぇ。御託は良い。始めるぞ』


『良いねェ!!第2ラウンド開始といこうか!!』

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