勇者の真実①
『ラングルド!ラングルド!今日は小学校の初めての登校日だよね?大丈夫?お母さんも一緒に行かないで良い?』
僕は頷く。
『それではいってきます!お母さん!!』
僕はそう言って、ドアを閉めた。
ー僕の名前はラングルド・ハーヴェスト。
勇者を志す6歳の少年だ。
そんな僕も今日から小学生。
僕は入学式を終えて、初めてできた小学校の友達と一緒に作ったクレヨンの絵を片手で持ちながら、ルンルンで家に帰った。
そして…家のドアを開けた。
『お父さん!!お母さん!!ただいま!!』
『…え?』
すると…そこに転がっていたのは。
『お父さん…?お母さん…?』
『なんで』
お父さんとお母さんの死体だった。
(……………)
僕はそれから崩れそうになる心をなんとか保ちながら、優等生を演じてきた。
これは…それから、2年が経った9歳の春のこと。
僕にも彼女ができた。
彼女の名前はエリーカ。
エリーカはとても可愛らしい金髪の少女で、年齢は僕と同じ9歳だった。
エリーカは僕と同じ音楽を聴いていて、同じようにお日様の下で寝転がることが好きで…
とにかく…可愛くて。
とにかく、エリーカのことが大切だった。
だけど…エリーカは。
1年後の春に。
桜の木の下に埋められて、窒息死させられた。
どうやら、村の大人たちに逆恨みされて埋められたらしい。
そして…彼らは僕のお父さんとお母さんも……
殺したそうだ。
(…………)
『そんなに甘いものばかり食べてると太るよ!!』
彼女はそう言って、いつも僕を叱った。
そして、彼女は…
『いつか桜の木を見に行こうね!!ラングルド!!』
って言って、僕と桜を見に行く約束を彼女が死ぬ1日前にしていた。
そして…明日、行く予定だったのに。
僕は桜の木の下で呟いた。
『あともうちょっとで一緒に…桜見れたのに』
ーその日、僕はエリーカと僕の親を殺した大人たちを皆殺しにした。
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