絶対神域千年血戦②
・・
魔王は一度、死んだ。
しかし…エミールがかつて結んだ魔王との契約によって再びこの世界に蘇った。
魔王は自らがエミールに殺された時のために、賭けとも言って良いような保険をかけていた。
いや、むしろその保険こそが本当の魔王の狙いだったのかもしれない。
ーそして、その保険とは…
エミールを禁忌の術で生き返らせる代わりに、もし魔王がエミールに殺された場合に限って、エミールの身体を乗っ取る事が出来る…というものだ。
つまり…魔王はエミールとの間に縛りを設けたのだ。
そして…この瞬間。
エミールは、魔王に身体を乗っ取られた。
『勝った…!!』
魔王は、薄ら笑いを浮かべる。
『勝ったぞぉ!!クハハハハ!!!』
そう。この身体の乗っ取りこそが魔王の真の狙いであった。
ー確かに、魔王はエミールを殺すつもりで本気で戦っていた。
そうしないと、死んでいった部下たちに示しがつかないからだ。
しかし…それでもエミールには勝てないと、魔王も分かっていた。
だから…この身体の乗っ取りこそが魔王の唯一の勝ち筋だった。
だからこそ、魔王は高笑いをしていた。
さらに、魔王はこの肉体を使えば、邪魔な勇者や目の前にいる厄介な大魔神バベルを殺せると思った。
そう思った魔王は大魔神バベルに手招きをした。
『どうしたァ?来いよ。大魔神バベル』
『小童が…!捻り潰してくれる!!』
ーこうして、エミールの身体を乗っ取った魔王と、大魔神バベルの異次元な戦いが始まった。
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