僕は勇者の殺し方を知っている。④

ー僕が初めて殺人未遂事件を起こしたあと、僕はクルーガーさんと逃げるように近くの町に引っ越した。


そこで…クルーガーさんは僕に衣食住を提供してくれた。




ー僕が父親から貰えなかった愛すらも…


クルーガーさんは全部与えてくれた。



そして…クルーガーさんに養ってもらい始めてから、1年が経ったある日…

僕はいつもどおり家でクルーガーさんの帰りを待っていた。


そんなとき突然…



ー僕の心臓は止まった。



(…………)

目が覚めると、僕は病室のベッドにいた。


『おお!エミールさん!!目を覚ましましたか!!心臓病の手術は成功したんだ!!』


僕の目の前にはそう嬉しそうにしている医者の人達が2人ほどいた。


そして、その時初めて…僕は持病持ちだったことを知った。


そして…その持病が治ったことも。


このことをまず伝えないといけない人がいる。


僕の大切な人だ。


クルーガーさんだ。


僕は医者の人達に、クルーガーさんがどこにいるかを聞いた。




すると…医者の人達は急に暗い顔をして、下を向いた。


僕はその光景を不思議に思った。


何故なら…クルーガーさんは僕の病気とは無関係なはずだ。


なのに、暗い顔をする理由はない。



その時の僕は本当にそう思っていた。




しかし…僕は沈黙を破った一人の医者によって、真実を知ることになる。







『クルーガーさんは……』




『クルーガーさんは……自分の心臓をエミールさんに移植して…………亡くなられました』

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