第31話 国王の晩餐②
晩餐会は我々生徒の他、夕乃先生、マリエル先生、ダン兵長の他、日頃の訓練に付き合ってくれている騎士たちも参加した。
大人連中が酒を手にして盛り上がっている中、
夕乃さんも酒を手にしているが...大丈夫か?
不安になった。
酔っ払ったジーク兵長が俺に話かけてきた。
「織田ーっよく聞け、国王はあんな厳つい顔をしてるがな?あれは元々ああいう顔なんだ。」
完全に酔っている。
「でもな、誰よりも国民のことを考えているいい奴なんだ。」
完全に不敬だ...
ジーク兵長は国王が近くにいるのにお構いなしだった。
「おいジーク!こっちに来い」
ジーク兵長の声が耳に入ったのか国王に呼ばれた。
「はい隊長!」
ジーク兵長は国王の元に走って行った。
「俺はもうお前の隊長じゃないぞ、
それよりお前は、いつまで一兵卒をやっているつもりだ。お前が辞退しなければ今頃は騎士団を任せられるのに、わがままを言って困らせるな。」
「俺はですね。最前線で剣を振ってるのが似合ってるんですよ!部下を前線にやって死なせるのはもうやなんですよ。分かってください隊長。」
やはりジーク兵長は只者では無かった。
王女である私の元には、マルエル先輩、生徒たちの担任?である楠田先生に囲まれていた。
私は、興味を持った織田くんと話したかったのに、ユーリ兄様に阻まれて近づけないでいた。
「マリエル先輩、私は魔法大学で魔方陣による儀式魔法の研究をしています。
そこでお願いなのですか、この訓練が終わった後、彼を私に貸していただけませんか?」
「彼って織田くんですか?豊富な魔力量なのは分かりますけど、非常に不器用な子ですよ?」
「彼が魔条集中の基礎もできないことは分かっています。
ですが、彼がダメなのではなく、杖ではダメなんですよ。
彼に足りない魔法操作技術は、魔法陣で補えば解決します。
そして彼の膨大な魔法量は必ず役にたつはずです。」
と説明した。
「ここでの後は私の一存ではなんともいえないわね。それに今は私の生徒です。
私が責任を持って指導します。」
とマリエル先輩は言った。
楠田先生のことは、先ほどからお話ししている限り、生徒思いで芯が通った素敵な大人の女性だと思っていたのだが...
私とマリエル先生が話し込んでいるうちにグビグビお酒を飲まれ今では目が虚であった。
「マリエル先生、今織田くんを私の生徒と仰いましたか?」と楠田先生が質問すると
「はい、織田くんは私が責任を持って育てます。」とマリエル先輩は答えた。
次に楠田先生は私に聞いてきた。
「王女さん、いえお嬢さん?、今織田くんを貸してくださいって言いましたか?言いましたよね?」
「はい、魔法の研究に彼に力を貸して欲しいってお願いしたのですが?」
というと、楠田先生は手を大きな×をかき
「二人ともだーめだめだーめです!
まず、織田くんはマリエル先生の生徒ではありません。お分かりですか?
それに、お嬢さんが欲しいって言ってもあげません。」
「織田くんは私の生徒ですー。私のですから誰にもあげません!」
と完全に酔っ払っていた。
するとどこからか織田くんが駆けつけてきて楠田先生を肩に担ぎあげると
「夕乃さんだから飲みすぎちゃだめですよー」
と言って宿舎の方に運んで行った。
織田くんと楠田先生はどういう関係なのだろう??
「胡蝶っち、第三王子がお呼びだよ〜」とエリちゃんから声をかけられ私がアラン王子の元に向うと、
「ちょっと来てくれ。」
訓練場の少し離れたベンチに連れて今れた。
「君は強いなぁ。俺は女性から一本取られたのは初めてだ。」
と爽やかに言った。
「アラン王子は女に負けて悔しくないんですか?」
と私が聞くと、アラン王子は笑って
「悔しくないと言ったら嘘になるな。しかし、それよりも俺は君の剣に惚れたんだ。
強い女性は俺の理想だ。
さっきの話は嘘じゃない俺と結婚を前提に付き合ってくれないか?」
と言った。
私は
「王子の言葉は嬉しいです。
少し時間をいただけますか?」
と答えた。
王子は
「わかった答えはいつでもいい。俺はいつまでも待ってる。」
と笑っていた。
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