第28話 王家の来訪②
俺たちが剣術の訓練中、騎士団を引き連れ、国王らが訓練場に訪れた。
「ようこそお越しいただきました陛下」
と副団長が挨拶すると、国王が
「かまわん、我に気にせず訓練を続けてくれ。」
と言った。
国王陛下は俺たちがこの地に召喚された際に、見かけている40代半ばの精悍な顔つきの男性だ。
確かに、ユーリ副団長と並んでみると、よく似ている。
国王を温和な感じにしたのがユーリ副団長だな。
国王の後ろにはユーリ副団長に似た男が鋭い目でこちらを見ていた。
ユーリ副団長と同じ訓練服を着ているが顔で第三王子だと確信した。
ユーリ副団長をやんちゃにしたのが第三王子って感じだ。
そしてそこには、若く美しい女性がいた。
着ているのは魔法大学のものであろうローブを着ている。
それよりも俺はその顔を見て驚いた。
ラーズ?
前世の四天王第二席であり俺の眷族であるラーズグリーズにそっくりなのだ。
ラーズが俺の眷族として再生していたら、現代世界に生まれているはずだ。
こんなことってあるのか?
よくよく考えれば、現王朝はラーズの実家の血筋だ似ていて不自然はないが。
俺は第三王女の顔を見て懐かしい気持ちになっていた。
「織田くん?昨日忠告しましたよね。王族の力によって排除すると...」
とシスコン第二王子に注意された。
「いやいや!そんなつもりでは!昔の知り合いと似てるなーーって思っただけです。よこしまな目では見てません。」
「ほんとそうですか?私には愛おしい人に再会した。とそんな感じに見えましたが?
いずれにせよ別人です。今後、くれぐれもやらしい目で見ないように」
「はい...分かりました。」
俺は第三王女に親しみを感じたが、お近づきになるには高い壁があることを感じた。
俺は第三王子のアラン=メーキス=ユグドラシル。
今の身分は第二騎士団小隊長のアラン=メーキスだが。
親父と一緒に兄貴が指導している勇者一行の視察に来ていた。
約3ヶ月に及ぶ訓練の後半に入っていると聞いてはいたが、
嘘だろ?
2ヶ月ほどの訓練でこんなに強くなれるのか異世界人は。
どいつも魔法の補助を受け、素人とは思えない動きをしている。
なるほどここ中から勇者を排出するって話も納得だ。
訓練を見回せしていると段違いのレベルの奴を見つけた。奴じゃなく女か?
若い一般兵を相手に苦戦しているように見せながら、その実は余裕をこいて立ち回っていることが一目でわかった。
これは面白い!
「兄貴、俺にも訓練に参加させてくれ。
相手はそこのおん...女性剣士に頼みたい。」
斉藤胡蝶:
私は、目をつけられないように立ち回っていたのに第三王子に訓練の相手に指名されてしまった。
婚約者募集中の王子が私の美貌に惹かれちゃったのかしら?
力は隠せても美貌は隠せないから困るのよ。
仕方なく私は王子の相手をした。
おっと、なかなかの太刀筋ね...
魔法による身体強化も上手、副団長と同格、むしろ副団長以上かしら?
ちょっと本気を出そうかしら!
ボコッ!!
私は、王子を模擬剣で殴り飛ばしてしまった。
王子は壁まで飛ばされながらも、すかさず防御魔法を貼りダメージを軽減した。
なかなかの腕ね、人族にしては好感がもてるわ。冷や汗出たけど...
王子は立ち上がるとキラキラ下目で駆け寄ってきた。
「お前に惚れた!付き合ってくれ!」
えっなんですと?
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