第27話 王家の来訪①

ある日、夕食の前にユーリ副団長から示達があった。


「皆さん聞いてください。急遽の事になりますが近く、国王陛下、第三王子、第三王女による視察が予定されています。

今回は王城ではなく、この騎士学校に参られますが、視察という形で通常の訓練を見学されるので、いつもの通り訓練に励んでください。」


との話だった。

王子殿下、王女殿下では?

珍しく失言なんて実は副団長も緊張してる?


その後夕食の歓談の中で副団長に質問が集中した。


女子から


「第二王子殿下は、どんな感じの方ですか?」


と質問すると、


「そうですねぇ。歳は皆さんの少し上で20歳だったと思います。

今は第二騎士団で小隊長をやっていて結構腕が立つって聞いてます。

ここ最近は私も手合わせしてませんが、ちょっとやんちゃなところもあるけど、気のいい男ですよ。」


と答えた。

王族相手なのにずいぶん親しげだ。

さっきのは失言でなく王家であっても騎士団では階級の序列が優先されるってことか。

じゃあ王女殿下は?


さらに男子からは


「第三王女殿下はどんな人ですか?」


と質問されると、副団長は


「そうですね。歳は貴方たちと同じ17歳ですが、インペリアル魔法大学に飛び級で入学した才女です。国王の子供達の中では一番優秀だと断言します。

、王家の血筋の色濃く引き継いで、美しい女性に育ってますよ。」


と、少し興奮したように答えた。


副団長は、いつもの紳士な振る舞いとは違い、はっきり言ってデレデレだ。


女子がすかさず、


「いま『かのじょ』って言いましたよね!

もしかして第三王女って副団長の彼女さんですか?」


と興奮して問いかけると副団長は澄ました顔で言った。


「いいえ、彼女は血のつながった実の妹ですよ。」



「「「ええーーー」」」と全員顔を見合わせた。


「あれ言ってませんでしたっけ?

私はユーリ=メキース=ユグドラシル。

この国の第二王子です。

もっとも騎士団に所属している間は騎士団の身分が優先されますので、副団長とお呼びください。」


「ええー!王子様?」


「女子の皆さん、ただいま第三王子アランは婚約者を募集中ですので積極的にアピールしてください。

騎士団に所属している間は騎士団の身分が優先されますので王族と思わなくて結構です。


あと男子の皆さん、第三王女イリアスをいかがわしい目で見ることは禁止です。

色目を使った場合は王族の権力をもって排除いたします。

くれぐれも!間違いを起こさないように!」


前段と後段で言ってること違わね?


ユーリ副団長をシスコン王子と認定した。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る