第10話 砦の会談

砦にて


「騎士団長、魔王軍の幹部と名乗る女が騎士団長に面会を求めております。」


「わかった。会おう。」


砦の会議室にて面会が開始された。


「俺が騎士団長のオーエンだ。

不意打ちで村々を襲った魔王軍が一人でとは豪胆だな。

それとも魔王軍幹部というのは嘘か?」


ラーズグリーズは人族であり、戦う力など無かったが、それ以上に知謀には自信を持っており落ち着いていた。

ここに来るまでの間、砦の兵たちからは恨みの目を向けてられており兵たちの怒りは相当なもで、魔族の護衛を連れてこればトラブルを生みかねなかった。


「まずはご説明をいたしましょう。

この度の砦の襲撃、それと村を襲撃したことは魔王さまの指示ではありませんし、魔王軍は関与しておりません。」


オーエン騎士団長は怒りに震え机を叩きつけた。


「そんなこと信用できるか?!

お前らの騙し討ちで多くの国民が命を無くしてるんだぞ?」


オーエンの剣幕にもラーズグリーズは反応はなく、淡々と問いかけた。


「それでは逆にお伺いいたします。

知能の低いゴブリンやオークに指示が通るとお考えですか?」


「そんな詭弁を!何かの魔法で従えていると聞いているぞ。」


「そのような都合がいい魔法があるなら、王国軍もうゴブリンを従えられるのでは?

いいでしょう。次の質問です。

バンパイアが魔王さまの配下であるという証拠はありますか?」


「はっ?語るに落ちたな、

魔王がバンパイアどもの弱点を持っていると潜入させた間者から報告を受けている。

それにバンパイア自身から魔王の配下にあるとの発言を聞いた者もいるのだ。」


「はぁ...それが証拠になるとでも?

今までの戦いの中で魔王軍とバンパイアが共闘していたという記録はないでしょ?

王立学校にいた頃に研究しましたが、どの歴史書にも魔王軍とバンパイア、それに魔王軍がゴブリンらと共闘した記録はありませんでした。」


オーエンは目を細めてラーズグリーズを凝視し、あることに気がつき目を見開いた!


「お前...いや貴女はイリアス様か?」


ラーズグリーズことイリアス=ユグドラシルはため息をついた。


「やっと思い出した様ね。オーエン。

その名前で呼ばれたのは何年振りかしら?」




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