第9話 バンパイア城にて

王城にて


「国王陛下にご報告いたします。

砦は無事奪還しましたが、魔の森に点在する村々がゴブリン、オーク、コボルトからなる魔王軍に襲撃され壊滅いたしました。」


騎士は悲痛な顔で王に説明した。

さらに


「騎士団をそれぞれの村に派遣し、対処をしていますが、手遅れとの連絡を受けています。」


王は怒りに震え、劇を飛ばす。


「おのれ魔王め、不意打ちとは汚い真似を。

しかも罪のない村々まで手をかけおって!

魔王の侵攻が始まったことは明らかだ!

近隣諸国に応援要請を打診しろ!」


「はっ かしこまりました。」



魔王領の北

更に奥の極寒の地に吸血鬼族の領地が存在する。

この地は太陽光が弱く、吸血鬼属にとって都合がいい土地であったが、それだけに吸血鬼族が欲する動物の血を得ることが困難な貧しい土地だった。


バンパイア城にて


「我がロード、人族の砦で調達した贄が到着しました。」


バンパイアロードに側近である、美貌の、しかし冷たい表情の女が報告した。


「わかった。無闇に殺すなよ。

眷属として生かし、必要な血を提供できるように十分な食事を与え健康には注意させろ。

我々と人間は共生関係にある、我々がどんなに強くとも人の血がなければ衰退するのだ。」


「かしこまりました。」


バンパイアロード

(恨んでくれるなよ魔王、我々も限界だったのだ。)




魔王城にて


レギンレイブが報告に上がる


「魔王さまに報告いたします。

今王国軍は砦に第一騎士団を残し、第二第三騎士団は王城に集結しております。

砦から王都までの間の村は全てオーク、ゴブリンらによって占領されたと確認されました。」


「バンパイアの砦襲撃と、ゴブリンらの大量発生には関係性があると思うか?」


「いいえ関連性は今のところ確認されておりません。

バンパイアロードも、これ以上の魔王さまの怒をかう危険性をよしとしないでしょう。」


「俺もそう思うな。

俺には吸血鬼族を根絶やしにできる力があるがそれはやめておこう。

奴らにもせざるえない理由がある。」


吸血鬼族のバンパイアロードの支配の力は絶対だ。ロードが死ねば次のロードが生まれる。

天敵の俺に接触してくることは無いが、比較的に今のロードは穏健派だと聞いている。

このままにしておくことがベターだろう。



「さてそうなると、ゴブリンどもの大量発生は偶然か。神の意思か。

どちらにせよこのまま放ってけば魔族寮にも被害が拡大する。

なとか対処せねば。」


四天王席次2位の軍師ラーズグリーズが発言した。


「私に問題を同時に解決する妙案があります。

魔王さまにお力をお貸しいただければ全て解決して見せましょう。」


彼女は人族であり、王立学校を主席で卒業した才女であるが、その優秀さ故にいとまれ、罠に嵌められて魔王領に追放された経緯がある。

人族に多少の恨みは残っているが、それだけに魔王軍の幹部として信用していた。


「わかったラーズ。お前に任せよう。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る