第30話 国王の晩餐①

夜には国王主催の晩餐が開かれた。

と言っても、宮廷の上品のものではなく、いつもの食堂ではなく、訓練場に机を置いて、立食形式で行った。


もちろん、国王主催なだけあり、料理はいつも以上に豪勢なものであった。


はじめに国王の言葉があった。


「君たちには本当に申し訳ないことをしたことを謝罪させて欲しい。

我が王国、いや人族の危機により一方的に召喚してしまったことを心から謝罪する。

すまなかった。」


と言って長い時間頭を下げた。


一国の国王がすることではないが誠意は感じた。

生徒たちも思うところはあるが、若い故の順応性により国王を責める者はいなかった。

無理やり連れてこられたが、魔法により自分達が強くなるのを実感し高揚しているのかもしてない。


故に副隊長も、皆んなが順応した頃を見計らって謁見の席を設けたのだろう。


自分が王子であるのを明かしたのもこの為か?見た目によらず、なかなかの策士だな。


みんなの様子を見て、さらに国王は話を続けた。


「許してくれればありがたい。今後君たちにはできる限りの援助をしたい。

勇者が現れ無かったとしてもだ。

この騎士学校の生活が終わった後、希望するものは正式に騎士として取り立てよう。

また騎士を希望しない者についても、養子として正式な貴族の子息となることを約束する。

また、約束どおり元の世界に帰還できるよう研究は続けることは約束しよう。」


国王の話は、現代社会の高校生には実感はないが、この世界においてはできる限りの高待遇であることは分かった。


「最後に一つ、君たちは貴族待遇だ。

よって君たちが望み、同意があれば私の息子や娘の配偶者となることを認めよう。」


と真面目な顔のまま言った。

あの顔で意外とお茶目な御仁だ。


すると第三王子が


「その言葉を待ってました!」


とおどけながら、斉藤胡蝶さんに熱い視線を送っていた。


また第二シスコン王子が


「お父上、まだイリアスには結婚は早すぎます。嫁ぎ先は私が厳正な審査をして決めます。」


というと、国王は


「お前はそんなだから未だに独身なのだ。お俺がお前の歳にはもう子供が3人生まれていたぞ。」


といい、王女は


「兄様、私の相手は私が決めます。王族といえども政略結婚なんて断固拒否します。いいですね兄様もお父様も!」


とキッパリ言った。


「イリアスよ、

お前が誰よりも知謀に長けていることは国王として嬉しく思う。

がしかしだな、以前持ちかけた縁談の相手を罠にはめて失脚させるなどは褒められたものではないぞ。」


「それはお父様、あの者がいやらしい目で私を見たからであります。私は悪くありません。」


ユーリ副隊長はそうだそうだとうなづいていた。



家族の茶番が終わったのをみて晩餐が始まった。



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