第12話 王国の滅亡とユグドラシル王朝の誕生

イリアスこと魔王軍四天王ラーズグリーズとの会談は終わった。

魔王軍からの最後通牒という一方的なものであったが騎士団長オーエンは部下に指示し、魔の森の立ち入りを禁止した。

またオーエンは会談内容については最後通牒のみを王国上層部に伝えた。


そして7日目の朝


まだ薄暗い夜明け前、騎士団長は砦の城壁の上で魔の森を見守っていた。


すると突然魔の森の中心が輝き出すと、その光が瞬く間に拡がり、まるで太陽のように輝き続けた。


砦の城壁に登っていた物たちは、その光と熱に耐えられず、我先にと城壁を駆け降りると、地面に伏せて収まるのを耐えていた。


しばらくして光が収まったが、辺りは砦の中までも灼熱の熱気に包まれていた。


騎士団長が再び城壁を登り魔の森を見渡すと、その中心部で溶鉱炉のように地面が溶け出していることがわかった。

そして砦から王都までの間の魔の森は、一瞬にして焼け野原になり、ただただ焦げた大地が広がっているのであった。




騎士団長は戦慄に震えていた。

イリアス様が言っていたことはこの事だったのだ。

こんなの戦争ではない。

いや戦争にはならないだろう。

魔王の意思で、王都は地図から無くなる。

魔王軍にとって交渉する必要性などない。ただ命令すればいいのだ。



この事実を受け、騎士団長以下第一騎士団は砦を離れ王都に帰還した。


まもなくして国王を中心に会議が開かれた結果、王都を魔王軍に明け渡し、今いる市民は南部辺境のユグドラシル領へ移住することとなった。


王国は、自らが追いやったユグドラシル辺境伯のところに逃げこむ事となり、国王は失脚し、ユグドラシル王朝の元で再建することとなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る