第17話 魔法授業①
1か月の基礎訓練の後、魔法がカリキュラムに組み込まれた。
基礎訓練では体力により班を分けて訓練を行ったが、魔法授業は全員集められた
「私が、魔法を担当する宮廷魔導士のマリエルです。平民出身なので姓はありませんが、インペリアル魔法大学を出てますので知識面では力になれると思います。」
そう挨拶したマリエル先生は、ブロンドヘアーのエルフの美しい女性だ。
見た目は20代ってところだけど歳を取らないエルフでは見た目の年齢は分からない。
「まずは座学で説明しますね。
魔法を発動するためには、魔法量、魔法操作能力の両方が求められます。
過去の文献によれば、異世界からの転生者は例外なく魔法量に恵まれているとのことです。
ということは、ここにいる皆さんは例外なく強力な魔法師になれるということです。」
このように魔法授業が始まった訳だが…
俺は魔法が苦手だ...
魔法量は、ここにいる誰よりも多いし勇者に匹敵すると言えよう。
ただ操作能力の方に問題がある。
まあ、言い訳をさせてもらうが、水道の蛇口をひねってコップに水を汲むのは簡単だろ?
じゃあ誰かダムの放水でコップに水を汲めるか?
だから俺の得意な魔法は、魔法陣を使った魔法や、制御を儀式化した儀式魔法。
はっきり言って、基礎的な魔法は暴発しちゃうから無理なんだよ!
「はじめに、体内にある魔法力を意識するところから始めます。
通常の場合1〜2年を要するので出来なくっても焦らなくて大丈夫ですよ。
皆さんは魔法の杖をお渡ししています。
この杖の先を光らせるイメージで集中してみてください。
それじゃあはじめ!」
机の上には30センチ位の木の枝が置かれていた。
みんなその枝を持つと黙々と集中していた。
「先端に体内の熱を集めるようなイメージを持つのかコツですよー」
先生は各自の席を回って、集中の仕方をアドバイスしていた。
10分ほどすぎて
「やったー、光ったー!!」
式森リエさんがうまく行ったようだ。
マリエル先生が驚いた声で言った。
「式森さんすごいじゃないですか!さすがは転移者ですね。」
そしてみんなに語りかけるように
「転移者が魔法に長けているということは立証されました。
他のみなさんも頑張ってください。」
と言った。
再びマリエル先生は各席を周り、ある男子生徒が持っている杖の真ん中を指差し
「今、ここまで魔力が流れてきています。
ほら私の指差す部分を集中して。」
と言って、指を先端まで近づけていった。
「ほらもうちょっと、ほらがんばって」
と男子生徒を励まし、マリエル先生の指が杖の先端を刺した瞬間、杖の先が輝き出した。
「うわー、先生やったよ僕」
「よくできましたね。今度は私の指がなくてもできるように頑張ってください。」
おー、このマリエル先生も只者じゃないぞ。
と感心したところで、ビクッとまずいことに気がついた。
マリエル先生は、放出された魔力が見える魔眼持ちじゃね?
マリエル先生の指導のもと、1時間くらい続けたところでクラスの半分が成功していた。
マリエル先生から放出された魔力の状態を説明されるとイメージが掴みやすいようで、魔眼持ちだということを確信した。
魔眼は体内の魔力量は見えないが体外に放出された時点で見えるそうだ。
術の発動前から見えるということは魔法戦にめっぽう強いということ。
そして魔力の流れが見えるということを応用すれば難しい治癒魔法の制御に役立つそうで、魔眼持ちは例外なく強い戦闘魔法師であり、優秀ない治癒魔法師である。
と第四席のあいつが言っていた。
そんなマリエル先生がまもなく俺の席に廻ってくる。
まずい、マリエル先生には頑張ってるフリ作戦は通用しない。
仕方ないやるか...
パキッ
「先生、俺の杖が折れました。」
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