第18話 魔法授業 ②
「先生、また杖が折れましたー」
また織田くん?
織田くんが杖を折るのは3本目だった。
ダン兵長から見どころのある筋肉バカって説明受けていたから、力入れすぎでしょって思っていたのだけれど。
「替えの杖を渡します。
集中するのに力は入りませんから私の指示通りやってみてください。」
織田くんは指先で杖を持つと集中し始めた。
確かに力は入ってないわね。
この持ち方で杖を握り潰すなんてありえないわ。
「そうそう集中して、指先から杖に体内の熱を注ぎ込むイメージで…」
パキッ
「先生、ごめん...」
織田くんは大柄な体を縮こませ泣きそうな目で謝ってきた。
ちょっと可愛いかも...
いやいや、今のはおかしいでしょ?
なんかのマジック?
織田くんの杖が折れる瞬間まで見てたけど、魔力が流れ込んだ瞬間に杖が折れるというより、魔力量に耐えられず割れた。
「どうアドバイスすれば良いか分からないけどー
とりあえず今日は見学で?w」
マリエル先生はひきつった笑顔で言った。
(胡蝶)
リエちゃん素質あるじゃん!
このまま成長して魔王軍の脅威にならないと良いけど...
そうじゃなかった。
私も適当なところで成功させとかないと目立っちゃう。
このくらい火でも水でも出せるけど。
とりあえず
ピカッ
「先生ー出来ました」
授業も残り30分と言ったところで楠田先生が入ってきた。
「私も時間が空いたから参加させてもらおうかしら」
そう言って、教室の一番後ろの席に座った。
マリエル先生からの簡単な説明を受け、マリエル先生が他の生徒の指導を再開してすぐに
パキッ
「あら、マリエル先生ー、申し訳ありませんが杖を折ってしまいました。」
楠田先生がそういうと、マリエル先生は引き攣った顔で、
「替えの杖は全てなくなってしまいました...
今日のところはここまでにしましょう…」
と言って1日目の授業は終わった。
「お疲れ様でした聖女マリエル、どうでしたか授業は?」
ユーリ副団長は戻ってきたマリエルに質問した
「そうですね。さすが異世界転移者というところでしょうか。
予想を超えていて正直驚いています。
初日で生徒の3分の2が魔法の発動に成功しています。」
「そんなにもですか!魔法師だけじゃなく貴重な魔法戦士にもなり得る人材じゃないですか。」
「そうですね。残りの生徒も後一歩というところでしょう。
ただ...」
「どうかしましたか?」
「いえ、気になる生徒が1名ほどおりまして」
「気になる生徒とは?
もしや聖女のお眼鏡にかなう人材でも」
ユーリ副団長のちゃめっけでマリエルは慌てた。
「いやいや、そんなやらしい目で見てませんよ。」
そりゃあ教会には(クソばかり...)ですけど(モゴモゴ..)
ちょっと可愛いとか(思っちゃったりーしたけど)(モゴモゴ…)
「何もごもごと?」
「いえ。杖が割れたんです。それも3本も。」
「は?」
「私の目には、魔力で破裂させたように見えました。」
「そんなことできるんですか?」
「はい、やろうと思えば私にもできますが、上級魔法士であってもできる人は限られます。
それを魔法を初めて使った子には無理でしょう?」
「勇者が覚醒した…。
という可能性は?」
「可能性はゼロじゃないでしょうね。ただ判断するのは少し早いでしょう。
それにですね。
実は、授業の最後に楠田先生が参加してですね、数秒で杖が折れちゃったんですよ。」
「そうなると…不良品の杖が数本混じっていたと?」
「それが自然ですね。
割れた杖は持ち帰って調べてみます。
この私に品質の低い杖を回していたのなら許しませんから。」
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