第6話 大陸の歴史
俺たちの訓練は、
朝食の後にぶっ倒れるまで走る
午前中は座学
昼食後に剣術など武術
夕方またぶっ倒れるまで走る
帰って夕食というサイクルだった。
座学は、文官のライデル一等書記官が受け持った。
「皆さんが今いるのは、ユグドラシル王国といいます。
大陸の中央に位置し、海には接していませんが大河に流れ温暖で住みやすい気候です。
しかし、北の平原のその先は魔族の住まう魔の森に接しています。
つまり、この王国は対魔族の最前線となっているのです。」
と説明した。
俺が魔王をやっていた頃にはユグドラシル王国なんか無かったので、比較的新しい王国なのだろう。
もっともその頃はこの辺りは魔族の支配地域だったのだけれど。
ライデル書記官の話は興味深いものであったが、時々間違ったことを話しているのが気になった。
もちろん書記官が嘘を教えているのでは無く、間違った歴史が伝えられてるのだ。
特に魔族に関する解釈は、人族は大きな間違いをしていたが、今の俺の立場で真実を語れる訳はないので黙って聞いているしかなった。
「魔族は、魔王の配下の四天王、さらにその配下に吸血鬼族、巨人族などがおり、末端にはオーク、コボルト、ゴブリンなどがおります。
魔族に他にも魔獣と呼ばれる獣が魔族領に巣くっており、魔族領と接する地域では我々人族の村々が被害を受けています。
魔王が復活すれば、その指揮の元魔族軍が組織され、人類に攻め込んでくると言われています。」
魔王の下に配下の四天王がいる。
その配下の魔族が魔王軍を構成している。
ここまでは間違いない。
まず間違いは、巨人族は、穏やかな奴らで手を出さなければ他に害もないし、他に干渉する気もない。
次に吸血鬼族は本能的に人類を糧としており、時々人を襲っている。
吸血鬼族が無条件で従うのはバンパイアロードだけで、バンパイアロードと魔王は基本的には敵対関係にある。
一番の間違いは、オーク、コボルト、ゴブリンだ!
あいつらにまともな知能は無い。
魔王軍の指揮下にはなく本能のままに人を襲っているだけだ。
いや人だけではなく、魔族領でも女子供が襲われることがしばしばあり、あいつらは魔族にとっても駆逐すべき敵だ。
特にゴブリンとオークはやたらと繁殖力が強く、他の種族の雌を襲って子供を産ませて増やすという、えげつない能力を持っている。
現代でいう病原菌との戦いのようだ。
魔族とは人族意外の種族の総称だ。
広い意味ではエルフもドワーフも元々魔族であり、実際、今から数百年前には魔王軍の陣営に組みしていた。
エルフとドワーフが魔王軍を裏切った訳ではない。彼らは中立を保っていた。
遠い昔、元々魔族と人族は敵対していなかった。
人族が神の信仰に傾倒する過程で、選民意識が芽生た。
人族は見目麗しいエルフや、工芸など手先な器用なドワーフを同族とみなし、獣人族やトカゲ族などを異端とした。
そこが始まりだった。
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