21話 観客席で見るとこんな感じだよね!

 俺は半径2Kmに渡り結界を展開していた。

 なんでしてるかって?

 簡単だよ。

  

 こうしないと地形が変わってしまうからだ。


 


「あははーー!楽しいのじゃあああ!!!」


ードカンドカン!!


 それはまさに災害と言う言葉があっているだろ。

 地面にはクレーターどころか底が見えない大穴になり、緑の草原は何処にも見当たらない。

 あっ、今も新しい大穴が、、、



 リバライは地を蹴る。

 蹴り上げた地面はリバライの蹴りに耐えられなかったのだろう、クレーターを超え崖が出来上がる。

 

「ひでぇ〜」


 俺は、土魔法の最上位地形変化を使い、リバライが破壊していってる大地を元に戻していってる。

 この魔法は、文字通り地形を変化する魔法だ。 

 自分が踏み締める大地は、自分の思うがまま。

 しかし、最上位という事もありこの魔法にはとてつもない魔力が必要だ。

 

 まあ、アレクシオンの魔力量からしたら、大きなバスタブからコップ一杯すくったかどうかぐらいなのだが。


「にしてもよく耐えてるな」


 リバライの攻撃を受け続ける『侵略者』に対してアレクシオンは感心する。

 大地の破壊具合から分かる通り、リバライの身体能力は常軌を逸してる。

 魔力を一切使わずに、身体能力だけで『侵略者』を殴り続ける。

 だがこの表現は正しくない。

 なぜならリバライは、、、



 のだから。

 


 魔王リバライ

 魔族なのに魔力が無く身体能力だけで魔王に成り上がった怪物。

 その拳は星を砕き、その体は傷付かず、長きを生きる魔王。

 


(こいつ普段はあれだが、本当にすげー奴なんだよな)


 今も『侵略者』の攻撃はリバライには通らず、反撃に相手を殴り付け俺の張った結界まで吹っ飛ばす。

 

ーピキッ


 やべっ、結界が。

 俺は慌てて結界を修復する。

 さらに強度を上げて。

 

(地味に《地形変化》より魔力を消費してるんだよな)


 どんな威力で相手を殴ってんだよ。


「ほれほれ、まだまだなのじゃあああ〜!!」


 相手が可哀想になってきた。


「準備運動はここまでじゃ!」


 ギア上がるのかよ。


「必殺技なのじゃああ!!」


 おっ、終わりそう。


「と見せ掛けて蹴るのじゃ!」


 なんだフェイクか。

 

「今度こそ必殺技なのじゃ!」

 

 相手が怯んだとこで決めるんだな。


「と見せ掛けて蹴るのじゃ!」


 いや決めねえのかよ!


「うおおおなのじゃ!!」


 ラッシュじゃない、必殺技で決めろ!!


「勝ったのじゃあああ!!!」


 結局必殺技打たんのかよ!!!


「これが必殺のハリケーンラッシュなのじゃ!」


 ・・・・・さっきの必殺技なのかよ!!!!!


「いい運動ができてすっきりしたのじゃ」


 リバライは倒れ伏す『侵略者』に近付く。

 

「トドメを刺すのじゃがお主の名前ぐらい聞いてやるのじゃ」


 おお〜戦った相手に敬意を抱いてるのか。

 何だかんだ言って大人だな。


「わ、我は・・」

「ふんなのじゃ!」


 リバライは、拳を振るい『侵略者』を消滅させた。

 

 ・・・・・!? 


「えええええええええええええええええ!!!!!!!」


 お前名前聞くんじゃなかったのかよ!!!

 何トドメ刺してるんだよ!!!

 少しお前を見直していたのに、返せよさっきの気持ち!!!


「リバライ様、お疲れ様です」

「うむ」

「どうでしたか『侵略者』は?」

「大した事なかったのじゃ。むしろ拍子抜けなのじゃ。弱かったのじゃ。不完全燃焼なのじゃ。残念な奴だったのじゃ」


 残念なのはお前だよ!!

 敬意すら抱いてねぇーじゃねえかよ!!

 


 とまあ、道中こんな感じの事しかなかったよ。

 大した事ないだろ?


 

 ごめんなさい!! (なんだよ文句あんのかよ書いただろ!)逆ギレ

 大した事なくはなかったな。

 新キャラのリバライの事について色々明かされたもんな。

 そんな話を飛ばすなんてダメだよね。

 分かってる。

 分かってるから許して下さい。

 謝罪だけで話終わっちゃうから。(そもそも作者が悪い)


 で、なんだっけ?(誤魔化しています)

 ・・・そうそう着いたんだよ王都。

 

「着きましたね。王都レアリア」

「ここに異世界人がいるのか」

「行きましょうご主人様。あの子達が待っています」


 あの子と言うのは、巣立った子供達だ。

 このレアリアで冒険者をやったり、王国の騎士団に入ったり様々だ。

 様々なのだが、どの子達も名が知れ渡り有名人だ。

 屋敷に住んでいる俺の所にも話はよく聞く。

 そんな子達と待ち合わせをしている。

 会うのが実に楽しみだ。


 だがここで一つ問題が起きた。


「アレクシオン様だ!!」

「何本当か!?」

「この国の恩人様だ!」

「なんと神々しい!」

「救世主様が来たぞーー!!」 


 色んな人に囲まれて前に進めねぇ!

 俺達を囲う人の群れ。

 騒ぐ人、気になり近づく人、俺を見て騒ぐ人と連鎖し続ける。

 このまま時間が経つと更に人が増えていくぞ。

 とにかく早く抜け出さないと!


「鎮まれ」


 凛としていて、しかし不思議と騒がしいこの場所に響く声。

 騒がしさは消え、人の列が左右に開いていく。

 開かれた場所から、1人の男が現れる。


「お久しぶりです。お父様」

「久しぶりグレン」


 男の名前はグレン。

 このレアリアの親衛隊長であり、俺の家族だ。

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