12話 どうしたと思う?
「ご主人様」
幼い少女の声が聞こえた。
「私強くなりたいです」
少女、レイは自分の主人のアレクシオンに頼み込むのだった。
♢
〜アレクシオン〜
俺は頭を悩ませてた。
何に悩んでるって?
『私強くなりたいです』
これだよ。
本当にどうしよう。
こう言う時は、、、
「どうしたのだ。アレクシオン殿」
「レミリヤに相談があってね」
「相談?」
「実はーーー」
俺は相談の内容をレミリヤに伝える。
「アレクシオン殿が魔法を教えればいいのではないのか?」
「それが俺には致命的に教える才能がなかったんだ」
「教える才能?」
「そうなんだよ。俺が魔法を使う時ってほとんど感覚でやっていたりするし、初めての魔法も大体成功するしね」
「・・・」
どうした事だろう。
レミリヤの顔が何とも言えない顔をしていた。
「なるほどのう、、、先生達は妾にこんな気持ちだったのだな」
先生?
そういえばレミリヤは英才教育を受けてるって言ってたな。
そこで、圧倒的な才能を見せつけて僅か3ヶ月で教師を帰らせたそうだ。
何でも、「教えることがもうない」とのことだ。
「それならば、変・・・ルーを呼んでみたらどうだ?」
「ルーさんか」
そうだね。
同じエルフ族みたいだし、ルーさんに聞いてみるのがあっていると思う。
「ルーさんは何処にいますかね?」
「ルーは冒険者だ。今頃冒険者ギルドにいると思が?」
「なるほど冒険者ギルドか」
よし。
それなら今日の予定は決まった。
レイを連れてルーさんに会いに行こう。
♢
「アレクシオン様〜!」
相変わらずと言うか何というか。
お馴染みルーさんが抱きついて来る。
ちなみに今の俺はミニ竜だ。
通常のサイズで街を歩くにはデカすぎるからね。
それでも街のみんなは、俺が『略奪者』を倒した竜と認識されていた。
色々な人に声を掛けられたりしたしなぁ〜。
だが無理もない。
竜は珍しい。
黒い竜ともなれば尚更だ。
「ル、ルー様っ!」
レイは、アレクシオンに抱き着くルーを引っ張る。
「アレクシオン様から離れて下さい!」
決して、羨ましくて言ってるのではない。
ないったらない。
そう自分に言い聞かせながら、どうにか引き離すことに成功した。
「わわ、あっレイちゃん久しぶり。怪我はもう大丈夫なの」
「はい。アレクシオン様のおかげで傷もなく」
「無事で良かった〜」
「ご心配していただきありがとうございます」
ルーは元気そうにしているレイを見て頬を緩ませる。
アレクシオンの時はだらしなく、レイに見せるその表情は母性に溢れていた。
レイはそんなルーを見て心が温かくなった。
レイとルーの出会いは、アレクシオンに助け出されたあの日までに遡る。
♢
俺はレミリヤにある提案をした。
「森に行きたい?」
「庭で使える魔法には限りがありますから」
「確かにそうだの。特にアレクシオン殿の魔法規模を考えるなら尚更の」
「それで外に行く許可が欲しくてですね」
「何を言っておる?そもそもアレクシオン殿は客人であり恩人。おもてなしこそすれ、行動に制限をかけるつもりはない」
「それじゃあ」
「うむ。妾は忙しので一緒には行けないが」
「アレクシオン様〜!」
「ルーさん!?」
「ちょうど良いの。ルー、アレクシオン殿と一緒に森に向かってくれ」
「アレクシオン様と一緒に!?いいですよ!それでは行きましょうアレクシオン様」
「えっ、ルーさん早っ」
はい、着きました。
ルーさんと一緒に森の中です。
ードカン、ドカン、ドカン!
ヒャッハーー!!
魔法を乱発するとは何と気持ちいいことか!!
今なら何者にもなれる気分だ!!!
・・・・・・・・うん。
ちょっと落ち着こう。
久々に思いっきり体動かしたせいか、変に興奮してたな。
完全にヤバいやつだった。
幸いと言うか何というか、ルーさんと離れ離れになって良かった。
こんな姿見たら軽蔑されるよな。(ルーならアレクシオンの新しい姿を見たと喜びます。あの子はもう手遅れです!)
ん?
今女の子の叫び声が聞こえたような。
あっちか、、、
向かった先に見た光景は、倒れ伏し背中に傷を負った少女と剣の刃先に血が付いた男、切り付けられたのだろう。
俺は、そんな光景を見たにも関わらず冷静だった。
冷静に少女の顔を見つめ感じる。
あの子達に似ている。
あの子達、俺が前世で育てた10人の子供達だ。
顔が似ているわけではない、纏う雰囲気がだ。
絶望しているその瞳が何よりも・・・
ブチッ!
ああ、冷静だって?
笑わせるなよ。
今すぐにでも目の前の男を殺したいぐらいにはな。
でも今はそれどころじゃない。
少女の治療が先だ。
お前は邪魔だ。
「なっ、何だお前は?」
「何だじゃねぇ。子供相手に何やってんだ!!」
俺は目の前の男を蹴散らし少女の元まで向かう。
ひどい傷だ。
早く治療をしなければ。
「おいまだ死ぬな。今助けてやるから」
俺は自分の皮膚を切り血を少女の背中に垂らす。
少女の背中の傷は瞬く間になくなり、艶のある褐色の肌が映り込む。
少女は、困惑した顔を浮かべながら俺の方を見る。
「貴方様が私を?」
「そうだよ。俺はアレクシオン。見ての通り竜だ」
悪い竜じゃないよ〜
「アレクシオン・・・様?」
「アレクシオン様〜って、女の子!?」
声が被ったな。
この声はルーさんだな。
ちょうど良かった。
「ルーさんこの子をお願い」
「えっ、あっはい、わかりました」
少女の事をルーさんに任せ、俺は気絶して倒れ込む男に近づく。
さ〜て、コイツどうしてやろうか。
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