30話 と、鳥肌がああああああ!!!

 あれから変態改め、オルガンとの自己紹介を終えた俺は控え室ソファーに座っている。

 男2人が絡み合ってたソファーとは反対側のね。

 誰が座りたいよ、反対側のソファー。

 

「それにしても、本当にお父様なんですね」


 グレンは、俺がアレクシオンだと知りとても驚いてたのだが、驚いたのは俺だよ。

 

 グレンが押し倒されてたのには訳があった。

 と言うかあってくれて、ホッとしたよ。




 グレンは控え室でアレクシオンが来るのを待っていた。


 シア様は、ヒロ君達を連れて何処かに向かってしまった。

 近衛兵として、一緒に向かおうとしたのだが、シア様からここでお父様を待つ様に命令された為、私はここでお父様を待つ事にした。


 ガチャ


 どうやらお父様が来たようだ。

 私は、ソファーから立ち上がり扉の方を向く。


「どうでしたかお父さーー」

「久しぶりだなグレン!」

「げっ」


 おっといけない。

 王族に向かってこんな態度は失礼にあたる。

 しかし、仕方ない事だと思うのは仕方ないだろう。


「少しは成長したのだろうなグレン」


 オルガン様は、私に少しずつ近づく。


「オルガン様、隣国での用事はーー」

「無事に終わった。だからこそ、俺はここにいるんだ」


 近づくオルガン様に嫌な予感がして、話題を出そうにも即答で答えられ、目の前まで侵入を許してしまった。

 私は、後ずさる事で距離を離そうとしたのだが、運悪くバランスを崩してしまいソファーの上に倒れ込む事になった。


 オルガンは、その隙を見逃さずグレンの上に覆い被さる。


「あの、オルガン様何を」


 オルガンの行動に、困惑の色を隠せないグレン。

 オルガンは、顔をグレンに近づける。

 そして、、、


「『爆ぜろ』」


 呪文と共に、グレンの上半身が小さな爆発に呑み込まれる。

 

 

 グレンはそれに対して、大きな反応を示さなかった。

 ただ死んだ目で、“またか“と思いうだけだ。


 本来、爆発に呑まれてこの反応はおかしく感じるのだが、これには理由がある。


 爆発が落ち着いた時、グレンの姿が現れ出す。

 グレンの上半身には、服装がなく、肌が曝け出されていた。


「ほう」


 オルガンは、グレンの裸体に感嘆とした息を吐く。

 

 見事に割れている腹筋。

 きめ細く感じる腕には、確かな筋肉が搭載されており、胸元は厚かった。

 

 過去に見た姿より、また一段とした成長を感じ、オルガンは嬉しく感じる。


「あっ、あの〜オルガン様」

「黙れ、もう少しこのままでいさせろ」

「この姿を誰かに見られては誤解がーー」


 ガチャ


 扉の開く音が聞こえ、グレンの心臓が跳ね上がる。


 バタン


 急ぎ、扉の方に視線を向けるが、その前に扉が閉められてしまった。


(誰かに見られてしまった)


 いつか、この事が城中に広まってしまった時の収拾を考え、頭を悩ませるのだった。




〜アレクシオン〜


「それで、なぜオルガン様はそのような事を?」

「オルガンで構わない。そのような、とは何の事だ?」

「グレンにしたことですよ」

「ふむ」


 オルガンは指先を顎に添える。


「何、その者の成長は体を見れば分かるからな。グレンの成長が気になった、それだけだ」

「・・・・」

「お父様、いつもの事です」


 俺は、グレンに同情的な視線をむける。

 グレンも慣れたのだろう。

 力無く笑うのだった。



「それよりアレクシオン。俺はお前の体も気になる。かの“救世主“殿はどんな肉体をしているのかをーーグッ!!」


 突如、オルガンは何かに殴られたかのように床にめり込む。


「何だ!?誰かの攻撃か?」


 俺は、周りを警戒するのだが、敵意、悪意、などの気配は感じられなかった。


「一体誰が、、、」

「あ、あの、アレクシオンさん」


 ハルカは、アレクシオンの裾を引っ張る。


「どうしたんだい?ハルカちゃん」

「じ、実はですね」

「うん」


 ハルカは、躊躇いがちにアレクシオンに告げる。


「オ、オルガン王子を、攻撃したのは、、、アレクシオンさん、です」

「なん、だと」


 アレクシオンは、顔を床にめり込んだオルガンに向けて、信じられないといった表情を浮かべる。


「事実ですよお父様」


 グレンもハルカの言葉を肯定する様に頷いていた。


「じゃあ何か、オルガンの気持ち悪さに手を出したって事か?」

「はい、もの凄い速さで殴り付けていました」

「す、凄かったです」


 呆れと尊敬の目を向けられた。



「取り敢えず、オルガンの事は放っておこう」

「そうですね」

「い、いいんでしょうか?」

「いいんだよ」

「いいんですよ」

「そ、そうですか」



 それから暫くして、


ーコンコン


「はーい」


 アレクシオンは、扉の前に立ち開ける。


「久々なのじゃ、アレクシ・・・お主誰じゃ?」


 扉の先にいたのは、王国に入ってから別れた、のじゃロリ魔王のリバライとメイド服を着たダークエルのレイだった。


 リバライは、俺の姿を見て困惑の表情を浮かべる。


 あっ、そうだ。

 俺今、人の姿だったんだ。

 リバライからしたら初対面の人になるんだった。


 元々、皆を驚かせるつもりだったのに、色々あって忘れていた。

 でもまぁ今更か。

 俺は気を取り直し、リバライにネタばらしをする。


「久し振りリバライ。今はこんな姿になってるけど俺だよ。アレーー」

「ご主人様大変お待たせしました」


 レイは、俺に向けて頭を下げる。

 

「あれ、レイもしかして俺の事が分かるのか」

「ご主人様ですよね」

「そうなんだけど」

「なぬ、お主アレクシオンなのか?」


 冷静なレイとは別に、リバライは「のじゃああああ!?」と驚きを隠せないでいた。

 そうだよ、これだよどれ。

 普通こんなに驚く事だろ。



 俺が間違ってるのか?

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