31話 こんな死に方ってある??
「お主本当にアレクシオンなのじゃな」
「そうだよ」
「人間になっておるのじゃ」
「そうだな」
「驚きなのじゃ!」
「そうだね」
リバライ達と別れてからの事を、一通り説明したのだが、リバライにとっては俺が人間になったことの方が気になる様で、さっきからその事しか質問されない。
「それでなんで人間の姿になってるのじゃ?」
「ウォーガンがね、シアと結婚させる為に俺を人間の姿にさせたんだよ。まぁ、俺も人間の姿になりたかったからいいんだけどね」
本当にハルカちゃんには感謝だ。
「それでレイ、子供達は連れてきてくれたのか?」
元々、王国に住んでる子供達と、酒場で合流する予定だったんだが色々あったからな。
リバライ達には遠回りをさせちゃったな。
後で謝っておこう。
「それなのですが、城に着いてからシア様にお会いしまして」
「ああ」
その言葉に俺は納得してしまった。
「争ってるのか?」
「それはもうバチバチと」
「はあ〜」
長い溜め息と同時に頭痛がしてきた。
なるほど、シアが控え室から出た理由はそれか。
グレンを連れて行かなかったのも、恐らく子供達との接触をさせないため。
「なんじゃなんじゃ」
「ど、どうしたんですか?」
リバライとハルカは、心配そうにアレクシオンを見る。
子供達とシアの話を聞いた時から、頭を悩ませる様な顔をしていたのだ。
「俺の子供達とシアはね、仲が悪いんだよ」
それも、とてつもなくな。
仲が悪いのには理由がある。
アレクシオンの存在だ。
巣立ったとはいえ、この国に住んでる子供達もまたアレクシオンが大好きなのだ。
それこそ四六時中一緒に居たい程だ。
そもそもからして、巣立った子供達はアレクシオンに恩返しがしたい為に旅立ったのが大きな理由だ。
アレクシオンが近くにいるのなら、合わない理由がないし、長く一緒に居たい。
そんなアレクシオンに迷惑を掛けるシアの事を嫌ってる子供達は多い。
シアは、アレクシオンを縛り付けている子供達の事が純粋に嫌いなのだ。
縛り付けていると言っても、アレクシオンに依存しきっていたり、独占して自分だけのものにしようと画策したりする子供達をだ。
グレンなどといったアレクシオンを縛り付けない、子供達には重宝したり尊重もする。
要は、アレクシオンを困らせる子供達が嫌いなのだ。
ただし、自分は大丈夫な事とする。
・・・・・相性が悪いのだ。
子供達とシアは。
「とにかく止めに行くか」
俺は重く感じる腰を上げて、この部屋を出る。
「我も行くのじゃ」
「お供します、ご主人様」
「私も行きますよ」
「ぼ、僕も行きます」
こうして、俺達はシア達の元に向かうのだった。
床にめり込んだオルガンを置いて。(忘れていました)
♢
「貴方達は、一体いつになったら旦那様の側から離れるんですか?」
「旦那様って言うな!」
「お父様は私のものよ!」
「ちょっとミラ姉さん!私達のでしょ」
シアと子供達の声が聞こえてくる。
あ〜やだな〜。
ここまで来たのはいいけど、会話を聞いてると俺が行かない方がいい気がしてくるんだよ。
油に火を注ぐっていうか。
・・・ここまで来たんだ。
今更戻るのはなしだろ。
これ以上喧嘩が発展しても事だしな。
「おーい!お前等!」
ピタッ
全員の視線がこちらに向く。
俺の存在に気付いたようだ。
何人かはとても驚いた顔をしているけど何でだろう?
「誰?」
「綺麗」
「あれ、レイお姉様がいる」
「リバライ様もいるぞ」
「さっきの声って・・・」
あっ。
そうか、俺今人の姿になってるんだった。
これで驚かせようとしてたのに、色々あって忘れてた。
よし、ここで皆を驚かせよう。
「久しぶりだなお前等。俺は「アレクシオン様〜〜!!」ぐふっ!!」
自己紹介の途中で、何者かに抱き付かれ俺は吹っ飛ぶ。
人の体になった影響なのか、踏ん張りが効かなくてそれはもう盛大に。
「てて、誰ーー」
「アレクシオン様!アレクシオン様〜〜!!」
「ああ、ルーさんか。久しぶり」
俺に抱き付きている相手はルーさんだった。
最初に会った頃と見た目が変わらない、金髪碧眼のエルフ美女。
確か本名が、ルールーフ・ル・・・何だっけ?
(ルールーフ・フルベル・ルクレルオンです)
まぁ略して、ルーさんだ。
ルーさんは、俺が屋敷を貰った後暫くして、王都レアリアで冒険者をやっていた。
理由を聞いてみたら、「今よりもっと強くなって、アレクシオン様に会うためです」って言ったきり会わなかったんだよな。
王都には、難病を治したり、戦争を止めに来たりした事はあったんだんけど、タイミングが悪くルーさんは王都を離れてた。
なので、ルーさんに会うのは本当に久しぶりだ。
「にしてもよく俺がアレクシオンって分かったな」
いや、本当にレイといいルーさんといい、普通見た目がこんなに変わってるのに分かるものなのかな。(いまだに主人公の見た目の紹介をしてない)
「今アレクシオンって」
「て言うことは本当に」
「なんであの姿に」
「で、でもすごく綺麗だよ!」
「本当に男性?女性じゃないの?」
子供達の混乱の声がする。
そうだよ。
あれが普通の反応だよね。
「「「お父様(さん)!!」」」
そう思ったのも束の間、男性の正体がアレクシオンと知るなり飛び掛かる子供達。
「うわぁ、ちょっお前、等、息があぁぁ」
デカい竜の状態ならまだしも、今のアレクシオンは人間の状態。
アレクシオンが、子供達と言っていても年齢はもう十分に大人。
そんな大人達に抱き付かれてただで済む筈もなく、アレクシオンはこの世界に来て初めて、死ぬかもしれないと感じるのだった。
窒息で。
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