2話 こんな大人にはなりたくねぇーと子供の頃はよく思うよね
「あなたは死にました!」
一言言わせてくれ。
「開口一番にそれ言うのはどうかと思いますよ」
目の前の女神?らしき神々しさを持つ女性に俺は思った事をぶつけた。
それしたら目の前の女性はキョトンとした顔をする。
俺の反応がおかしいのかな。?
でも、会ってすぐ死にました!って言われても。
それに思うんだよ。
"!"って何だよ!
そう言うのってもう少ししんみりして言う事じゃないの?
何で元気よく言うの?
嬉しそうに聞こえるからやめた方がいいよ。
などなど、目の前の女性に言い続けてると、目の前の女性が目元を潤ませて、挙句泣き始めた。
やべ、言い過ぎた。
「ごめんごめん。いきなりの事でちょっと気が動転してたりして冷静じゃなかった」
「い、いえグスン、わだぢのほうごそべかみなのに、おっ、おみてぅるしいどごずんまちぇん」
涙声でうまく聞き取れなかった。
えっと、取り敢えずこの女性はやっぱり女神の様だ。
・・・不謹慎かもしれないけどこの女神、貫禄という物がないな。
泣かせたのが原因かもしれないけど。
「ぢっっ、じつばっ、エグッ」
「あー!取り敢えず泣き止んでからお話しましょう」
暫くして、
「あなた様は、過労死にてお亡くなりになりました」
「はい、それはまぁ何となく感じていた事なので」
それはまぁ死ぬわな。
そう感じる程の濃い日々を過ごした。
だって俺はーー
♢
俺は体がぶっ壊れるんじゃないかという程の仕事をしてきた。
理由としては、食わせていかなきゃいけない子供達がいたからだ。
自分の子供ではない。
兄の子供だ。
俺の兄は、控え目にいってもクズ野郎だった。
控え目じゃないって?
はは、それ程嫌いって事だよ。
兄は、女遊びが好きで色々な女性と関係を持ったりした。
2股、3股は当然、それこそ一時期2桁まで行ってたこともあるぐらいだ。
それだけならまだいい。
いやよくはないけど。
問題は、人妻に手を出したことだ!
それも子持ちの!
結局それがバレて裁判沙汰になった。
どうやら奥さんの旦那は相当高い権力の持ち主で兄は相当な制裁を受けた。
そして、何股もしている事がバレて、逆上した女性に刺されて呆気なく逝った。
これだけならいい。
いや本当にこれだけなら良かったよ。
実の兄に冷たくないかって?
いいんだよマジで。
あれあいつ嫌いだったから。
血の繋がっているだけの"他人"と思っているから。
そんで何だっけ?
そうそう問題が一つできたんだよ!
何と兄と何股もかけていた彼女達には、子供ができてたんだよ。
しかも過去に付き合って人にも彼女がいて全部合わせて10人もだ。
あの時は、あいつマジかよって思ったな。
それでその子供達を俺が引き取る事になった。
何を言ってるんだって。
言葉通りだよ。
子供10人を俺が引き取った。
どうやら兄は、子供達の養育費などを支払う為に金持ちの奥さんと浮気をしていたみたいだ。
もうなんて言うか。
その頑張り違う事に活かせなかったのかな?
もうあいつの事を考えるのも億劫になってきた。
それで、兄が死んでしまった為子供を育てるのが厳しくなってたみたいだ。
家族とかに頼れとか思ったけど、今回の事で何名かは特に子供ができた人に関しては絶縁されたらしい。
それで子供達を育てられないと?
普通に働いて育てろよと思ったが、どうやら金銭面は全部兄に任せていたみたいで、今から働いて育てられる自信がないみたいだ。
はぁーー兄が付き合っていた人達も大概だな。
そんな事もあり子供は、全員俺が引き取る事にした。
仕方ないだろ!
何せ子供達はDVを受けている子も何人かいるし、全員年齢の割に痩せていたりと、こいつ等まともに育ててないだろ!と感じるぐらいにはひどい有様なんだから。
で、何やかんやで彼女達に子供達は育てられないと言う事で、養子縁組という形で俺が引き取る事になった。
わーいこれで俺もビックダディだ!
ふざけている場合じゃないな。
この子達を育てていかないと。
それからは必死だった。
お金を稼ぐのは勿論家事などもやっていかないといけない。
それに最初の頃は、子供達のメンタル面も気にしないといけなかった。
あれをやらないとこれをやらないとで、忙しい日々だった。
それでも耐えられたのは、家に帰った時に見せる子供達の笑顔だった。
それだけで、気力などは回復していった。
でも、気力だけでは限界だったんだろうな〜。
はぁ〜あの子達は・・・
♢
「元気かなぁー」
「あの〜俺の記憶をナレーションするのやめてくれませんか」
俺は長々と俺の過去をナレーションしていた女神にツッコミを入れる。
実は、先程の過去回想って全部女神のナレーションだったんだよ。
すごいよなぇー記憶を覗けるなんて。
「あの子達は、」
「大丈夫ですよ。貴方が稼いだお金を元に子供達は株や商売で稼いでいって成功を収めておりますから」
「そうか、そうか。それは、良かった」
俺は子供達が無事な事を聞けて心から安堵する。
そんな俺を女神は、慈愛の眼差しを向ける。
「貴方様は本当にお優しいのですね」
女神様のその言葉に照れ臭くなった。
そんな事ないですよ〜などと言うつもりはない。
自分で言うのも何だけど、俺は善人だろって感じるし。
だってビックダディだぞ!(これで大抵の事にはマウントを取れると思ってる)
「そんな貴方様に転生の資格を見出しました」
「転生?資格?」
「はい、善行を積んだ者には転生時に特典を得る資格を有します」
つまりいい事をしたから、転生する際にご褒美があると。
「転生というのは?」
「私が管理している世界に生まれ変わっていただくつもりです」
「どんな世界ですか?」
「魔法と剣、魔物がいるファンタジーな世界です」
「危なそうだな」
「大丈夫です!」
女神は自信満々に胸を張る。
そう言い俺の目の前に幾つかのカードが浮かび上がる。
・身体能力最強格
・魔力無限
・時間停止
・強奪
・・・
そのカードには色々な文字が並べれてた。
強そうな物もあれば、便利そうな物、よくわからない物など、多岐にわたる。
「そのカードの中から1つ選んでください」
「なるほどこれが特典。いっぱいありますけどオススメ何かはありますか?」
「そうですねぇ〜・・・これなんかどうでしょう」
・最強転生
・・・なんか子供が考えたような内容だな。
「これはですね。身体能力、魔力、あらゆる才能がズバ抜けた状態で転生できます」
ふむ、他にも探せば良さそうな物があるかもしれないけど、せっかくオススメされたんだ。
よし!これにしよう!
「これでお願いします」
「かしこまりました。準備まで時間が掛かりますので、少々お待ちください」
それから暫くして、
「お待たせ致しました」
準備を終えた女神は、僕の方に手をかざす。
そうすると俺の足元が光る。
「それではお別れです」
「色々お世話になりました」
俺は女神に一礼する。
女神は微笑みを浮かべる。
「貴方様に世界の祝福があらんことを」
やがて光は俺の全てを包み込み、俺は目を閉ざす。
♢
「行きましたか」
女神は先程まで彼がいた場所を見る。
「女神様〜!」
女神に声をかけたのは、背中に羽を生やし、頭に輪っかが付いている天使だった。
「どうしましたか?」
「大変なんですよ〜!」
「落ち着いてください」
慌てる天使を落ち着かせ話を聞く。
「実は、先程世界の次元に穴が開きまして。それを調べた所人為的に起きてまして」
「何ですって!?」
女神は、慌てて原因があった場所に向かう。
そこには、男女10人組がいた。
その中から1人の女性が声を出す。
「お父さんは何処?」
その声は、とても冷たく、目からは一切光を通していなかった。
「ひっ」
女神はその目を見て恐怖する。
「もう一度言うよ。お父さんは何処?」
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