24話 何気にまるまる別視点は初めてのような〜?・・・っは!これが恋?

 私は目の前光景に驚きを隠せなかった。

 小さな竜が、ヒロ君の《絶対切断》を止めた事にだ。

 ヒロ君とは幼馴染であり、この世界に来てからもよく一緒にいたから分かる。

 《絶対切断》は、触れた瞬間にどんな硬い物でも切断する力だ。

 そんな能力なのに、あの小さな竜は様に剣に触れているのに、何の変化もないのだ。

 私は、そんな小さな竜が気になり、自分の能力を使う。

 使ってみた結果ーーー


 

 

 異世界に召喚されてから、私達には特殊な能力が宿った。

 召喚された人達は100人程に上り、その全ての人達に様々な能力がある。

 手から火を出す者、空を飛ぶ者、姿が消せる者、生物を魅了する者と色々だ。


 私に宿った能力は、《   》だ。

 我ながら凄い能力なんじゃないかなと私は思う。

 私はこの能力を使い後悔した。

 使うんじゃなかったと。


「きゃーー!!」


 叫び声を上げる女性。

 そこを見渡せば、腹部に赤い血を流す中年の男性と、何処で拾ったのか刃物と思わしき凶器を持つ少年。


「ははは、これでこの力は俺の物だ!!もっとだもっと!!」


 そう叫びながら、刃物を振り回す少年の瞳には狂気が宿っていた。

 皆は、その瞳に気圧され恐怖し動けなくなっていた。

 そんな動けない者達に少年の凶器が迫る。

 その時、、、


「そこまでですよ」


 凛とした声と共に、白銀の鎧を着た男性が現れる。

 後に知った事だがその男性は、この国レアリアの近衛騎士団の団長グレンさんだった。


「なっ、なんだよお前!?」


 少年は、刃物を鎧の男性に向けるのだが、男性はそれを意に返さず少年に近づく。


「くっ、来んーー」

 

 男性は、突如姿を消し少年の後ろに回り込む。

 後ろに回り込まれたのには気づかず、そのまま首元に手刀を打たれた少年は、まるで気絶するかのように倒れ込む。

 倒れる少年を優しく抱き止める男性は、私達の方に向き直り口を開く。


「混乱の中申し訳ありません」


 そう言い、少年を抱き止めたまま器用に頭を下げる男性。


「しかし、今は何も聞かず私についてきてくれないでしょうか?」


 その言葉に誰も答えられずにいたいたが、私だけはこの状況を為直ぐに動けた。


「君は」


 近づく私に気が付いた男性に私は、お願いをした。


「騎士様お願いしま。あそこで倒れている人を助けて下さい!」


 私は、先程少年に刺された人の治療をお願いする。


「っ!分かりました」


 瞬時に倒れる男性を見たグレンは、懐から赤い液体の瓶を取り出し振り掛ける。

 すると如何だろうか、先程まで死にかけていた中年の男性の傷は見る見る塞がり呼吸も安定してきた。


「これで大丈夫ですね」


 ホッとした顔を浮かべ、グレンは再度みなに顔を向ける。


「それでは皆さん私に付いてきてもらえないでしょうか?」


 今度こそ、皆はその言葉に従うのだった。



 それから私達は城に住む事になり、この世界の事を国の偉い人たちに教わった。

 まず私達は、『略奪者』により召喚された異世界人であり、その際に特別な力が宿っていること。

 この世界は、3つの世界で成り立っている事。

 魔法や魔物などが存在する事。

 そしてこの国の事など、様々な事を教えられた。

 元の世界に帰れないことなども、、、だ。



 召喚されてから3日が経った。

 その間に私達は色々なグループに分かれた。

 元の世界に帰れなくて悲しみに耽る者、現実を受け止めきれず引き篭もる者、異世界の生活に期待を乗せる物、元の世界に帰る為に頑張る者などと別れていった。

 

 そんな私達だが、召喚された際に身に付けた能力を使いこなす訓練をしていた。

 この訓練にはみんなが参加している。

 と言うのも、この城に住まわせてくれる条件でもあるからだ。

 城の人達からしたら、いきなり100人もの人達を受け入れ食事や生活の面倒を見ているのだ。

 無償というわけにはいかない。

 そう言う事もあり、私達はこの訓練を受ける事になるのだった。

 まぁこうなる事はんだけど。


 訓練には、やる気の違いが現れる。

 この世界を楽しみにしている子達は、やる気にみなぎっているが、引き籠もっている子達は仕方なくといった感じで訓練を受けている。

 そんな態度取っていると城から追い出されちゃうよ。

 城の人達だってボランティアでやっているわけじゃないんだから。


「見てくれよミライ!!」


 そんな声と共に、光り輝く剣を振るうヒロ君。


「もう、そんなに振りましたら危ないよ」


 注意する私は、その後もヒロ君と訓練を続ける。


 ヒロ君とは、幼馴染という事もあり私とよく一緒に訓練をしている。

 そんなヒロ君なのだが、見ての通り昔からヤンチャであり、この異世界で特別な力が宿ったと増長していた。

 ヒロ君の《絶対切断》が強力な事も関係しているのだろう。



  

 そんなヒロ君なのだが、ある日訓練から抜け出し、街外れにある酒場に向かっていた。

 私はそんなヒロ君を止めようとしたが、結局一緒に店に入る事になった。

 店に入ったはいいが、そこでヒロ君は問題を起こし今に至る。


 

 ーー力を使った私は、小さな黒い竜アレクちゃんに近付く。


「おわっ!何?」

「私と結婚してください」

「はぁ〜〜!!」


 そして思いっきり抱き着き愛の告白をするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る