17話 これが本当のサプライズ!!

「おお〜!広い屋敷だな〜」


 俺は今小さい竜の状態で、でかい屋敷の前に立っていた。

 デカさでいうのなら、レミリヤの屋敷と比べても遜色ないぐらいだ。

 この屋敷を作ってくれたアランさんには感謝だな。


「それにしても、よく短期間の間にこんな屋敷を作れたな」


 その言葉に、隣にいるレミリヤのお父さんであるアランさんが笑う。


「はは!流石に1から作ったわけではないよ。元々はレミリヤに与えようと思って建てていた屋敷なんだ」

「そんな物貰っていいんですか?」

「構わないよ。これにはレミリヤ承認している」

「そうなのか?」


 俺はアランさんとは反対にいるレミリヤに問いかけた。


「むしろお願いしたくらいだしの」


 レミリヤは深く頷き肯定した。


(これはむしろ遠慮する方が失礼なのかな?)


「それなら遠慮なく貰うけど」


 でもまさか、こんな規模の屋敷を貰うとは思わなかったな。

 もっとこう体育館の様な物だと思ってたんだよね。

 ・・・この屋敷の管理どうしよう。


「そいう言えば、この屋敷にはメイドと使用人もつける様にするつもりだがいいかね」

「ぜひお願いします!!」

 

 俺の悩みを見抜いていたのか有難い提案をしてくれるアランさん。

 流石アランさん。

 この街の領主様!!


「お待ちしておりましたご主人様」

「ああ、ありがとうレイ。先に見てもら・・・って!?」


 屋敷の門前で待ち構えていたのは、メイド服に身を包んだレイだった。

 レイにはあらかじめ、この屋敷の視察に行ってもらい待ってもらっていたのだが、まさかメイド服に着替えてるとは思わず不意打ちをくらう。

 いや、確かにレイは俺のメイドなんだけど、アランさんの屋敷では簡素な服を着ていたんだよな。


「そのメイド服似合ってるな」

「っ、ありがとうございます」


 それはそれとして、レイのメイド服は似合っているので褒める。

 

「それにしても驚いたよ。まさかメイド服で出迎えてくれるとは」

「レミリヤ様が、、、サプライズにと」

「サプライズになっただろう」

 

 レミリヤは得意げな顔をして俺を見る。

 俺はその顔に苦笑するが、こういったサプライズは喜ばしい。




 それから俺達は屋敷の中に入り、これからの話を知っていった。


「これからアレクシオン殿はどうなされるので?」

「とりあえず子供達が独り立ち出来るまでは一緒にいようかと思います」


 家族になろうと言ったのだ。

 森に帰ってバイバイって訳にはいかない。

 暫くの間は子供達と暮らそうと思う。


「うむ。それなら子供達には職を斡旋しよう」

「本当ですか!」

「なに、アレクシオン殿には返しきれない恩がある。それに私も子供達の事は放っておけない」


 本当にいい人だなアランさん。

 

「それとは別に実はアレクシオン殿に渡したい物があってね」

「渡したい物?」

「これだ」


 そう言ってアランさんは、テーブルの上に革袋を置く。


 ドサッ!


 重みのある音を立て広がるのは、革袋一杯に敷き詰められた金貨だった。


「これは?」

「アレクシオン殿が倒した『略奪者』から様々な素材が手に入ってな。これはその素材の買取額だ」

「そんな、別にいいですよ」

「そうはいかん。これはアレクシオン殿の正当な権利だ」

「でもあの化け物の回収や解体は全部アランさんが手配した物ですし、褒賞でお金も沢山貰いましたし流石にこれ以上は・・・」


 『略奪者』討伐に当たってお金は一杯貰ってる。

 そもそも俺は、竜の関係上あまりお金は使わない。

 これ以上貰うのは、悪い気がする。

 

 アランさんは、お金を貰わない俺に困り顔をするが流石に俺も貰うのは忍びない。

 暫く思考するアランさんは、良い案が思いついたのか一つ頷き口を開く。


「それではこのお金は、子供達に使うのはどうだろうか」

「む」


 アランさん上手いなぁ〜。

 そな事言われたら断れない。

 子供達の面倒を見るにはお金が必要だ。

 そのお金を俺の気持ちで受け取らないというのはなちょっとな。

 ・・・よしそれなら、


「分かりました。これはありがたく貰います」

「そうしてくれたまえ」


 満足そうに頷くアランさん。

 俺はそれに対して受け取った金貨の入った革袋を突き返す。


「ん?」


 俺の行動にアランさんは困惑した顔を浮かべる。


「代わりと言っては何ですけど、これで子供達に必要な物を買って頂けないでしょうか。ほら私は竜ですし、皆に必要そうな物が思いつかなくて」


 意趣返しと言うわけではないが、これぐらいはやってもらって良いだろう。

 アランさんは惚けた顔からやがて笑みを浮かべ笑い出す。


「あっはっはっは!なるほどこれはやられた!良いだろう子供達の為だ」


 心底嬉しそうに笑うアランさんに俺も笑みを浮かべる。


「それでは、私もこれから色々と準備をせねばな。それでは私はこれで失礼するよ」


 アランさんはそう言い屋敷から出ていった。


「さてそれじゃあ俺は子供達を呼びに行くか」

「それなら妾も行こうかの」


 俺と一緒に外に出ようとするレミリヤ。

 うん。


「何でお前も一緒に来るんだ?」

「ん?これから一緒に暮らす者達を迎えに行くのに問題があるのか」

「一緒に暮らす?誰が?」

「妾だが」


 レミリヤは心底不思議そうな顔をする。

 いや、俺がその顔をしたいよ。

 一体どうゆう事だよ?


「これから一緒に暮らすのだ。よろしく頼むぞアレクシオン殿」


 はぁぁああああああああああああああああああ!!??

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