18話 話を飛ばすな?いいえ飛ばします!!

 子供達と暮らし始めてから数年の時が経った。

 うん?

 数日じゃないのかって?

 残念でした!

 数年なんです!!

 

 何で数年なのかって?

 まぁ深い理由はないさ。

 しいて言うならめんど、、、ゴホンゴホン。

 話をサクサク進めようかなぁと思いまして。

 本当ですよ!信じてください!(必死)

 あれ?

 背中がなんか重いな(後でわかります)


「ご主人様どうされたのですか?」


 馬鹿な思考をする俺を呼んだのはダークエルフの少女、、、いや今は大人の女性になったレイだった。

 白銀に輝く髪を背中まで伸ばし、目元は細くその赤い瞳には確かな知性と慈愛を感じる。

 身体の凹凸はハッキリしており、まさに出るところは出て引っ込むところは引っ込むを実現した姿。

 雰囲気はクール然としている。

 そうだな、地球での社長秘書がよく似合う様な子に育った。


(本当に綺麗になったな)


「何でもないよレイ」

「そうなのですか?」

「それよりどうしたんだい」

「あっ、そうでした。ご主人様、皆様がお待ちしておりますよ」

「わかった今向かうよ」

「お待ちしております」


 レイは先に皆が待つ食堂に向かった。

 ちなみに皆と言うのは、奴隷から解放された子供達の事だ。 

 

(本当にこの数年色々な事があったな)




 その一


 皆が待つ食堂に向かって歩く俺の耳に、喧しい声が耳に届く。


「うわははは!!美味いのじゃ!美味いのじゃ!のじゃああああ!!!」


 ブチッ


 アレクシオンの額に血管が浮き出る。

 アレクシオンは食堂に向かう歩幅(飛んでます)を早める。


「おかわりじゃ!おかわりなのじゃ!!早う持ってくるのじゃああああ!!」


 プツン


 あっ、今何かが切れる音がしたような?


「テメェまた来たのか!!!」

「おお!ひさしいのじゃアレクシオン!!」


 アレクシオンが叫ぶ先には、幼女然とした女の子が椅子に座り食事をしていた。

 驚くべきは、その体の何処に入るんだという程の食事をしている事。

 空になり重なる皿はすでに100皿を超えている。


「おいこら!どんだけ食べてるんだ」

「何じゃあ〜?まだ食べ始めたばかりじゃぞ!我はお腹が空いてるのじゃあああ!!!」

 

 コイツどうしよう?



 一つ目は、魔王の1人と知り合いになった事(これについてはその内にお話しします)(多分、もしかしたら、忘れてなければ)



 その二


「お父様〜」

「パパ!」

「我が君」

「マイマスター」

「主〜!」

「旦那様」

「父上」

「アレクー!」

「シオン〜!」

「婿殿」


 一斉に声を掛けられるが正直聞き取れない。

 集まるのは、子供、大人、魔物、異なる年齢、あらゆる種族が俺に近づく。


 かつての奴隷の子達は勿論の事、新しい子達も数多くいた。

 これらは皆、アレクシオンが救い出し、巡り合い家族になった子達だ。

 今や、アレクシオンの屋敷が狭く感じる程の人達が集まっている。


 一見大家族で良いじゃないか!

 と思うかも知れないけどとんでもない。

 何でって?


 

 プライベートがないんだよ!!!!



 この屋敷にいる間、俺は誰かに抱き付かれているのだ。

 本当に何処にでもだぞ!

 トイレ、お風呂場、食事中、寝る時、歩く時(飛ぶ時)何処にでも!!

 

 今気付いたのだが、話の冒頭からも誰かに抱きつかれていた。(もはやホラーです)

 

「お前達」


 俺の呼び掛けに、食堂にいる全員が視線を向ける。


「そろそろ自立しないか?」



「「「「「やだ!!」」」」」



 二つ目は、俺の家族が自立してくれない。



 その三


「これどうしよう」


 俺は今自室で丸い宝玉を手にしていた。

 その宝玉には、禍々しくも膨大な魔力が内包している。

 なぜ俺がそんな物を持っているかというと、、


 俺の家族は、自立しないと言ったが全員という訳ではない。

 自立する子も少数だが存在する。


 いるんだが、うちに帰って来る時にお土産を持って来るんだ。

 それ以外にも、珍しい物や記念の物自分達が討伐した大物の魔物などありとあらゆる物を送って来たりする。

 それはいいんだよ。

 仕送りみたいなものだなぁーと感じるから。

 だが問題があるのだ。


「置く場所が」


 そうなのだ。

 みんなが送って来たり持ってきたりする物は数が多く、価値の高い物ばかりで迂闊に使えなかったりする。 

 子供達のプレゼントという事もあり売ることもできない。

 結果、倉庫に置いていってる。

 でもその場所にも限界があるのだ。


「ご主人様」


 自室に入ってくるレイは、宝箱の箱を抱えていた。

 俺は、その箱に対し嫌な予感が沸いていた。

 

「こちら、ミラ様達から送られました『略奪者』の牙だそうです」

「ああぁ!またかよ」


 ミラ達率いるヴァンパイア達は、俺の血を吸う事で種族として進化したり格が上がっていった。

 なので毎度送られる物はとんでもないものばかりだ。

 処分できないから倉庫に入れるしかないけど場所が無い。

 

 レミリヤも倉庫を見に来たが「国の宝物庫が可愛く見えるの」と言ってた。

 国の宝物庫を超えるってどんだけだよ。


 ちなみに今俺が持っているものは、ナインからお土産として渡されたエルダーリッチの心臓だったりする。 

 これ一個で、城が建てられるほどの価値がある。

 素材として使えば、伝説的な武具などが作れる。


「仕方ない倉庫の整理をするか」


 500メートル以上ある倉庫の整理をね。(涙)

 それ以外にも倉庫の素材を使って色々作ろう。

 倉庫の中から少しでも物を減らす為に。



 三つ目は、巣立つ子供達の贈り物に頭を悩ませる。


 

 四つ目は、つい最近知った事なのだがなんと、が転生してるかもしれないとの事。

 いや、どゆこと?

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