14話 こうして重い子達が出来るのです
〜少し遡り〜
「情報ではここのようだの」
レミリヤが指す場所には小さな洞窟があった。
「ここが」
ここに奴隷の子達がいるんだな。
「それではアレクシオン殿、手筈通りに」
「ああ。子供達は頼んだぞ」
作戦は至ってシンプルだ。
洞窟で俺が暴れ回り、その間にレミリヤの兵士達が奴隷の子達を救出する。
ここで大事なのが、俺達の目的がバレない事だ。
バレれば最悪、奴隷の子達が人質になる可能性がある。
なので俺は、盗賊達がそんな事に気が回らなくなる程大暴れをする。
「よし、それじゃあ暴れるか」
ここからは少し割愛します。(めんどくさがっているだけです)
だってモブとの戦い説明して何が面白いよ?(勝手な偏見です)
一応簡単な説明として、『
その中で、奴隷の子達を見つけてはレミリヤの兵士達に頼んで、先に進み続けるのであった。
異常が俺とエンコ無双のお話です。
以上、終わり
♢
〜現在〜
「おめえが暴れてる小さな竜だな!?」
今俺の目の前には、巨漢の男が立っていた。
「お前は?」
「俺はここの盗賊団のボス、ワルダーだ!」
「そうか。俺はアレクシオンだ」
どうやらこのワルダーが諸悪の根源みたいだな。
「アレクシオン、オメェはここに何しにきやがった」
「な〜にお前等は盗賊だろ。散々色んな物を盗んできたんだ。たまには盗まれる側の気持ちにもなれ」
「ああん、んな理不尽な事がまかり通ると思ってんのか!」
「理不尽?」
お前等が言うのか・・・
子供達を傷付けていったお前等が・・・
助けていった子供達の姿は良く覚えている。
傷だらけの体、体の何処かが欠損している子達、痩せ細った見た目まで。
何よりも、、、
ーギリッ
アレクシオンは己の鋭い牙を噛み締める。
じゃなければ、怒りが抑えられないと感じたからだ。
「そもそも、弱い奴等から奪って何が悪い!」
「そうかよ」
「ああそうだ!この世は弱肉強食なんだからな!!」
「だったら、俺から奪われても文句ないな」
「はん。生まれたての竜に何ができる!」
ワルダーは、自身が装備するバトルアックスをアレクシオンに振り下ろす。
その一撃は、人1人を粉砕するには十二分な程の一撃だった。
それこそ幼い竜ですら傷つく程の一撃をだ。
「なっ、、」
まぁ相手がただの
ワルダーの必殺の一撃はアレクシオンの鱗を粉砕するには至らなかった。
それどころこか、鱗に傷一つすら付けられなかった。
「それじゃあ次はこっちな」
アレクシオンはワルダーから少し離れ、魔力を解放する。
ワルダーは自慢の一撃が通用しなかった事に放心状態になるが、アレクシオンが解き放つ魔力に気付き後ずさる。
「なっっ、何だよその、デタラメな魔力は!!」
ワルダーは、あまりの魔力の高さに腰が抜け動けなくなる。
「終わりだ」
ー『魔力点火(マナ・イグニッション)』
レミリヤとの魔法の特訓で編み出した技の一つ。
原理は単純で、アレクシオンの膨大な魔力を球状に圧縮して一気に解き放つ。
簡単な事のように聞こえるがとんでもない。
圧縮するに当たり緻密な制御を必要とする。
その魔力が膨大であればある程にだ。
レミリヤとの特訓で培ったのは、まさにその制御力だ。
圧縮された球状の魔力が爆発した。
それに巻き込まれるように、ワルダーと部下達は壁に吹き飛ばされ、気を失っていった。
「加減はした。悪事を働いた分、これからは罪を償うんだな」
俺はそう言い、この場を離れるのだった。
♢
盗賊団は壊滅させた。
しかし、これで終わりではない。
むしろここからが本番だ。
俺は洞窟から出た。
外の光浴びる中俺の心は沈む。
何故なら、洞窟を抜け出し目の前に広がる光景に少なからずショックを受けたからだ。
目の前には、盗賊達から解放した奴隷の子達がざっと30人程いた。
みな、目立った傷は無くなっている。
(全員に効いたようだな)
俺は、子供達が傷付いた状態を予想して、あらかじめ大量の血を用意していた。
その血を使い、子供達の傷を治していったのだ。
それこそ、欠損された四肢までもだ。
しかし、いくら体の傷が治ろうと心までは癒せない。
今ここにいる、子供達は親を亡くし孤独な状態だ。
帰る場所がないのだ。
「・・・」
はぁー、やっぱりダメだな。
あの目を見るとどうしても、前世のあの子達を思い出す。
俺は、あの目には弱いんだな。
・・・よし。
覚悟は決まった。
俺は、自身の体のサイズを戻す。
元のサイズに戻る頃には、皆が俺を見上げる形になる。
俺は、子供達1人1人を見た後に口を開く。
ある決意をね。
「君達には帰る場所がない」
その言葉に、何人の子供達が俯いた事か。
しかし、俺は言葉を紡がなければいけない。
「この先何の為に生きる?」
答えられないだろう。
この先所か、明日どう生きるかすら思い浮かべられないのだろう。
事実、俺の言葉に応える者は唯の1人もいなかった。
・・・少しいじめすぎたかな。
ただでさえ悪い空気だったのに、そこからさらに湿気を帯びた様に空気が重くなる。
それでも言わなければいけない。
聞かなければいけない!!
「夢がないか?希望がないか!?先が見えないか!!?」
アレクシオンの声は少しずつ高くなっていく。
抑えられない気持ちがあるのか、その声に悲痛さを感じるのは、きっと気の所為では無いのだろう。
アレクシオンは、一体何を想い叫んでいるのであろう。
それはきっと彼しか知り得ない。
「生きる事に絶望したのなら前に出ろ!
俺が痛みもなく一瞬で殺してやる!!」
嗚呼、俺は一体何をいってるんだよ。
これで誰か前に出てきたらどうするんだよ。
それでもさ、信じたいんだよ。
この子達を。
絶望すると言うことは、希望を奪わられることだ。
想いを踏み躙られることだ。
絶望を覆したいなら新たな希望を、想いを抱かせるしかない。
「もしまだ生きたい者が居るなら・・・」
小さな声だった。
それでも不思議な事にその声は、この場に居るみなに届いていた。
暫くの間が開く。
この先の言葉が気になりだしたのだろう。
俯いていた子供達は、次々と上がる。
自分達に語りかける、大きな竜に向かい。
そしてーーー
「俺と家族にならないか」
アレクシオンは奴隷の子供達に提案を持ちかけるのであった。
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