9話 《現代》ネタバレは少し出すぐらいが丁度いい

 「それが竜王様と『略奪者』との初めての邂逅だったのですね」

 「そうだよ」


 商店街を歩く俺とリーフィ。

 竜のお前が歩くのは大丈夫って?

 安心しろ。

 この国は俺が歩ける様に街頭を広くしてある。

 だって俺の国だぜ当たり前だろ。

 俺がいばれることじゃないんだけど。


 「おっ着いた」


 俺は目的地の場所に着き足を止める。

 そこは香ばしい香りがする串焼きの屋台だった。


 「お待ちしておりました竜王様」


 屋台から現れたのは、串焼きの店長だった。


 「老けたな店長」

 「いやー竜王様に最後に会ったのは5年前ですしね」


 店長は遠い目をしてアレクシオンを見つめる。

 店長とアレクシオンは昔馴染みの間柄だった。


 「こちらに来ると思いまして用意しました」


 店長は、屋台から少し離れた所にアレクシオンを案内した。

 案内した先には、特大の皿と皿一杯の串焼きだった。

 

 「おぉ〜」


 目の前のボリューミな量に感嘆を溢すアレクシオン。

 

 「こちらの串焼きは串ごと食べれる様になっております」

 「マジで!」

 

 すごいな店長。

 どうやって食べようかなぁ〜って思ったんだけど良かった。

 それじゃあ、、

 

 「いただきまーす」


 ムシャムシャ


 「ウ、、ウメェ〜〜ッ」


 なんてジューシなお肉なんだ。


 「その肉は、レスファングの肉を使った物なんです」


 レスファング

 俺が初めて森で会った大きなイノシシの事だ。

 確かにあれは、生でも美味しかったしな。

 

 竜になってから味覚が変わった。

 正確にいうなら許容範囲が広がったというべきかな。

 大抵の物は美味しく感じる。

 それこそ毒だって刺激の強いスパイスと感じるぐらいに。


 「ご馳走様。美味しかったよ店長」

 「またのお越しをお待ちしております」


 俺は店長に別れを告げる。

 そしてリーフィとまた商店街を歩く。


 「そういえば竜王様」

 「ん?」

 「どこに向かっているのですか?」

 「ああ、ちょっと挨拶にな」

 「挨拶?」

 

 それからも俺とリーフィは商店街を歩く。 

 やがて商店街が抜けた俺の前には大きな屋敷があった。

 屋敷の門の前には、門番がおり俺の姿を見て門を開く。

 顔パスっていいよね。

 

 門をくぐり暫く歩くと、屋敷の玄関前に見覚えのある薄い青髪の少女がいた。


 「我を待たせるとは随分偉くなったの」


 不機嫌そうな顔をして立っているのはレミリヤだった。


 「悪い悪い。お腹空いて寄り道してた」

 「馳走なら用意しておるぞ」

 

 そう言って近づくレミリヤ。

 初めて会った時のままレミリヤは幼く愛らしい顔をしていた。

 

 レミリヤと会ってどれくらいの時が経っただろうか。

 数百数千年では効かない。

 何でまだ生きてるのかって?

 おいおい忘れたのか。

 ここはなんでもアリのファンタジーな世界なんだぜ。

 深く考えるな。

 感じろ!!


 「お久しぶりです。レミリヤ様」

 「久しいなリーフィ」


 どうやらレミリヤとリーフィは知り合いのようだ。

 それもそうか。

 なんせリーフィの先祖とレミリヤは仲がいいからな。


 リーフィの先祖って誰?

 教えてもいいんだけど、俺的には焦らして教える方が面白いと思うんだよ。

 だからごめんね。

 そのうち会えるから楽しみにしてってね。

 

 屋敷に入る俺とリーフィ。

 因みに今の俺は体を縮めてミニ竜になっている。

 そうでなければこの屋敷には入れないしな。

 そんなことが出来るのかって?

 出来る様になったんだよ!


 「竜王様その姿になってもなんと凛々しい!」

 

 あの子リーフィはダメだ。

 俺が何をしても何になろうといい方向にしか受け取らないな。

 良い子で聡明な子なんだけど、俺が絡むとアホの子になる。


 「懐かしいのうその姿。

  人間の姿にはならんのか?」

 「おまっ!

  それはネタバレだろ!!」

 「ネタバレ?」


 はーい皆さん忘れましょうね。

 これ以上過去に関わる話のネタバレはしたくないんだよ。


 


 レミリヤの屋敷で食事を終えた俺は今、レミリヤとリーフィとでお茶会をしていた。

 

 「そういえばアレクシオン殿」

 「何だ」

 「“あの子“が会いたがっておったぞ」

 「“あの子“?」

 「○○○」

 

ーゾワッ


 うわぁー。

 どうしよう。

 背中が滅茶苦茶ゾワゾワするぞ。

 “あの子“重いんだよなぁー。

 “思い“が。

 会いたくないわけじゃないんだけど、会うの凄い久々だしな。

 俺が久々っていうくらいのな。

 会おうとは思ってたんだけど、巡り合わせが悪かったというか中々会えなかったんだよな。

 手紙なんかも渡されたんだけど、酷いもんだった。

 確か、、

 

 『会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたいーー』


 あっ、やめよ。

 思い出しただけで体が震える。


 「噂をすれば何とやらだの」

 「えっ!?」

 

 瞬間背後から物凄い圧が現れる。

 俺は、恐る恐る背後を振り返る。

 

 振り返る先には、1人の美女が立っていた。

 美女、それだけなら良いんだよ。

 良いんだけど、その美女さんの目がヤバいんだよ。

 この世の闇という闇を凝縮した様な目をしている。

 顔がいいだけに、その目はもの凄く違和感を感じる。

 一言で言うと怖い。

 本当に怖いんだよ。

 美女は俺に目線を向けると口を開く。


 「

 

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