月を見ていたら異世界にいました

きよグ

第1話それは満月の日だった

俺は何処にでもいるようなごく普通のアニメとゲームが好きな、陰キャと呼ばれる高校3年生、18歳、師走 仁志(しわす にし)、明日から冬休みに入るので今日は徹夜でゲームをしようとアイテムの確認をしている


「エナドリ(ねんりょう)、エナドリ(ねんりょう)」


そんな独り言を言いながら冷蔵庫を開ける


「・・・えっ」


そんな言葉がつい出てしまった、なぜなら、さっきまであると思っていた燃料ことエナドリ、エナジードリンクが、いや言い換えなくても全員理解している、まぁ全員も何も俺しかいないが、この状況はつまり冬に、それもよりによって今日、12月24日に外に出ないといけないってことなのか、ここら辺はあまり装飾とかはないが、さっき外を見た時かなりのカップル(てき)がいた、どうする、今から買いに行くか、それとも人が少なくなってから行くか?

いやそれは無しだ、そんなゲームを途切れさせるなんてことできるはずがない、つまり今、買いに行くしかない

まずは厚着、をしようと思ったけど、まぁ雪も降ってないし、上下ジャージと大量のカイロで大丈夫だろ、すぐ近くだし、じゃあ後は財布とスマホ、そしてイヤホンだけでいっかな


「いざ出発‼︎」


と気合を入れてドアを開けて外に出る、さ、寒い、走るか


「はぁ、はぁ、はぁ」

忘れていた、自分のスタミナが1桁もないことを、アパートから出るだけで息切れしてしまった、なんでそんな致命的な弱点忘れたんだ、まあいいや急ごう、じゃないとまずい、寒さと視線で死んでしまう


そういや今日、朝ニュースで晴れって言ってたな、ここ最近ずっと曇りだったし、たまには星やら月やらの顔でも見てやるか


「意外と綺麗だ」


そんな言葉をついついこぼしてしまった、久しぶりに見たそらだったと言うだけじゃなくそれが満月であったこと、そして何より俺がよく独り言を言う人間だからだろう、いやでも本当に綺麗だな、まるで昔田舎のおばあちゃん家で見た月くらい綺麗だ、こう言う月見ると言いたくなるよな


「月が綺麗ですね」


・・・言ってしまった、1人で歩いてるだけなのに、恋人とかでもないのに


「あなたと見るから綺麗なんです」


とても美しい女性の声で、そんな言葉が聞こえてきた、聞き間違いか?いや周りにはカップルがたくさんいるんだ、その会話だろ


そう思いながらも視線を落とし、周囲を確認しようとすると、何処からどう見ても見覚えのない場所、さっきまで住宅街にいたはずなのに、俺の目の前に広がるのは崖とその下に広がる森、恐る恐る後ろを見ると、見る限り広がり続ける森、そして日本にあるはずのない、おそらく中世くらいの街、そしてその二つに目を向けられないほど、月明かりだけでも分かるほど美しい少女が視界に入っていた


その人の髪は膝に届くほど長く、鮮やかな銀色、そしてなんと表現して良いか分からないほど綺麗で、その肌は透き通るように白く、その瞳はこの世にあるどんな宝石よりも綺麗な水色まさに美少女と言う言葉ですら表せないほど可愛く、美しい、女の子


「初対面なんだし、せめてまだ見えない、くらいじゃないか、言うとしても」


そう返してみると


「別にあなたに惚れたわけじゃないわよ、ただ自分で相手を選ぶってことをしたかっただけだから」


ふむ、見た目からしてそうだと思っていたが、何処かのご令嬢か?


「ふ〜ん、私を誰だか分かってなさそうだから教えて上げる、私の名前は、ルナ・リーポス」


「だれ?」


つい本音が出てしまったが、大丈夫かこれ、異世界のご令嬢に喧嘩売っちゃったんじゃ、まずいことになるかも


「はぁ、本当に知らないの?」


「はい、知りません」


これは、怒っているのか、それとも呆れてるのか、どっちなんだ、どっちも嫌だけど


「私は、リーポス王国第2王女よ」


ええ‼︎そんなすごい人だったの、いや待て、なんでそんな人がこんなところに1人で


「そんな人がなんでこんなところに、それも1人で」


「簡単よ、好きでもない相手と結婚するの嫌だったから、それだけよ、あと、1人じゃないわよ、脱出を手伝ってもらったメイドのセレー・リシャが来るから」


推測が確信に変わったここは、確実に異世界だ、つまり俺に何か特殊な能力があったり、魔法を使えるようになってるんじゃ、よしやってみるか


「おりゃぁーーー」

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