第10話飲み過ぎダメ絶対

綺麗な鳥の鳴き声、見慣れない焦げ茶色の天井、とても柔らかいベッド、ああそうだった異世界に来てたんだ


異世界にいることを思い出しながら、背伸びをして起きあがり、周りを見ると、ありえない光景が広がっていた


待て待て、まずは昨日のことを思い出すんだ、えっと、セレーとベランダで話して、その後少し飲まないか聞かれて、18歳だからって断ったら


「こっちじゃ大体の国が16歳、遅くても18歳には飲んでいいんですよ」


って言われて


「いや、それでも」


って断ろうとしたら


「郷に入れば郷に従えって言葉があってですね、意味は」


「知ってるよ」


「であれば話しが早いですね、飲みますよ」


って強制的に、しかも俺の部屋で飲まされて、覚えていないがそこからなにかがあって、机と床にはビール瓶といろんな物が散乱して、ベッドには昨日お風呂に入る前にセレーから渡された男物の寝巻きを着た俺と、メイドキャップ、肌着、途中までチャックを閉めた俺のジャージを着たセレーがいる


「・・・・・・一旦セレー起こして覚えていないか聞くか」


「起きて〜セレー」


と声をかけながら体を揺すると、意外とすぐに起きてくれた


「なんですか?」


少し枯れたような声でそう言いながら体を起こし、背伸びをして周りを見渡してから


「仁志様がこんなことをするような人間だったとは思っていませんでした、最っ低ですね、責任とってくださいね」


とゴミを見るような目で見ながら言ってきた


やばい完全に誤解されてるやつだ、いや誤解かどうかわからないけど


「待つんだセレー、状況だけ見たらそうかもしれないけど、まだヤったかどうか分からないだろ、だから確認するためにも昨日のことを思い出してくれ、ちなみに俺は飲み始めた後から覚えてなかった」


そう早口でセレーに説明すると


「それもそうですね、思い出してみます」


よかった、なんとかわかってもらえたみたいだ、顔もいつもの表情に戻ってる


「思い出しました」


「おお、どんな感じだった」


「落ち着いてください、説明しますから」


そう言ってセレーの回想が始まる


「ビールって意外と美味しいね」


「そりゃそうですよ、特にこのビールは『世界一美味しい』なんて言われている代物ですよ」


と酒を飲んで話してしばらくして、ベロベロに酔っ払ってきた時に


「これって仁志様の世界の服なんですか?」


と仁志様のジャージを持ちながら聞き


「うん、ジャージって言うんだよ、めっちゃ動きやすくて楽だよ〜」


「着てみていいですか?」


「いいよ」


「じゃあメイド服脱ぐのであっち向いててください、みちゃダメですよ」


「そう言われると見たくなるな〜」


「ダメですってば〜」


「「アハハハハハハ」」


「じゃああっち向くね〜」


「じゃあ着替えま〜す」


と言う会話をして私が仁志様の後ろでメイド服を脱いで適当なところに投げ、ぶかぶかのジャージに着替えて


「こっち向いて大丈夫ですよ〜」


「おお〜かわいい、グッジョ〜ブ」


と言いながら仁志がグットサインした後、少し飲んで


「ふあぁ〜」


って仁志があくびして


「眠いの?」


「うん眠いけど、そんな飲んでたっけ」


「今が12時だね、結構遅いね」


「え〜、いつももっと遅くまで起きてるのになんでだろ」


「そりゃお酒飲んでるからでしょ、それに昨日の夜から起きてるし〜、長い距離歩いたからね〜、そりゃ眠いよ、アッハハ」


「確かにそんなことしてたら眠くもなるね、アハハハハ」


ってくだらないことで爆笑した後


「あれでも、なんで俺あんな距離歩けたんだ?体力ゴミなのに」


「影響を与えてきたものがそうとう大きかったんじゃないですか、たまにあるんですよね、影響を与えたものが大きすぎると身体能力が上がること、ああ、ちなみに朔月者は元から身体能力高い場合が多いですよ」


「へぇ〜そんな要素が」


「てかやばい、本格的に眠くなってきた」


「じゃあそろそろ寝ますか」


と言って私がベッドに登ってそれを見て


「じゃあ俺は床で」


そう言ってきたので


「え〜、私のこと嫌いですか?」


「嫌いじゃないけど、俺と同じベッドで寝るの嫌じゃないの?」


「嫌ならそもそも自分の部屋に戻ってます〜、いいから黙ってベッドで寝ましょうよ、女の子が一緒に寝たいって言ってるんですよ」


「仕方ないなぁ」


「壁側で寝てくださいね」


と言う感じでした


「つまり事件は起こってないんですね」


「はい、起こっていません」


「やったー」


と盛り上がりながらハイタッチしていると、ノックがなり


「仁志?朝ご飯食べに行かない?」


「もしかして寝てるの?入るよ」


そう聞いてくるルナの声がした


やばい、やばいどうする、この状態見られたら誤解される、えっとまずは


「ちょっと待ってよ、今着替えてる途中だから」


「う、うんわかった」


まずはセレーをどうにかして隠さないと、よしクローゼットに隠すか


セレーにクローゼットに隠れるようアイコンタクトでどうにか伝える、よし伝わった、じゃあ俺は孤月から昨日渡された服に急いで着替えて


あっやべ、ビール瓶で滑って、しかも目の前にはセレー


「「あっ」」


大きな音をたてながら倒れてしまった


その直後、ドアを開ける音と一緒に


「仁志、大丈夫」


「えっ、何やってるの2人とも」


と言う声が聞こえて、その後誰かが走って行くような音が聞こえた


完全に誤解されたやつだー


ってか今どう言う状況なんだ、なんか柔らかいものが両手に当たってる、あっこれ早く手離さないとやばいやつだ絶対


そう思った頃には遅く、俺の頬は思いっきり叩かれていた


その後はそれぞれの部屋で着替えて、自室に籠ってしまったルナにしっかり何があったのか話して誤解を解き、なぜか俺のジャージを上下あげることになった、本当になんで?

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