第38話温もり

あの後いろいろあったがしっかりと誤解を解き、今テーブルを囲んで椅子に座り、食事を食べながら俺が寝ている間に起ったこと、得た情報を聞いていた


とりあえず聞いたのは、俺は疲労の貯まりすぎで倒れてしまったらしく、疲労を伝えなかったことで怒られ、気づけなかったことで華弘夜に謝られた、そしてみんなに心配をかけてしまった、特にルナは俺が倒れてからは必死に運んでくれたり、それから少しで見つかったこの村に着いてからは俺が起きるまでの3日間、ずっとそばで見守ってくれてたらしく、泣いていたこともあったらしい


というところまで聞いたところだ


「それでじゃ、この村の人たちによるとここらに最近魔物が多くなっているらしてな、仁志、お主の回復も考えてあと2日この村で休む」


と華弘夜が真面目な顔して言う


「いや、俺はもうだいじょうb・・・」


そこまで行ったところで右隣から遮るようにとても可愛い声が入ってきた


「に~し~、無理はダメ、約束したよね」


と少し怒ったようなそれでも可愛さとやさしさを感じる顔と声でルナに注意されてしまった


「うっ・・・ごめん」


「よろしい」


と何とか許してもらえた


それから2日、出発までお風呂、トイレ、睡眠以外は常にルナが見張りとしてついてきていてとても幸せでした、はあめっちゃ可愛い、最高


「それじゃあ、行くぞ準備はいいな?」


「「「「「おおーー!」」」」」


と華弘夜のコールに対しレスポンスしてイッツザレッツラゴー&イング、と思っていたら突然村長に声を掛けられた


「本当に行くんですか?」


そうとてもよぼよぼでかすれた声を出し、震えているご老人がそう言う


「心配してくれるのはありがたいが、行かなきゃいけないんだ」


笑顔で返すと、村長がとても思い詰めているような顔で息をのみ、さらに体の震えを強めながら


「で、ですが」


と今にも下を噛みそうなくらい焦った声で喋り、いきなり落ち着き「やっぱりわしには出来ぬ」そう笑顔で俺達に村長が伝えた瞬間、その後ろから村の青い服を着けた青年が思いっきり斧を振り下ろす


それを何とか村長に落ちるぎりぎりのところでルナが拳で鉄製の見るからに新品の斧を砕く


「何やってるの」


眉間にしわを寄せ、相手に殺気を飛ばしながら低い声でそれだけ聞く


「あんたらのせいだ、あんたらがこの村に来なければ」


そう青年が話している間に大人も子供も老人もこの村のほとんど全員が武器を持って俺たちを囲んでいた


それから10秒にも満たないほんの少しの時間、虐殺した、襲い掛かって来る村人数人が「お前らを殺さないと」「お願い死んで」「俺たちのために」「頼むから化け物であってくれ」そんな言葉を吐きながら襲ってきた、きっとロキに脅されたんだろうな、ああ仲良くしてたのに、つらいな


おそらく襲ってきた村人は全員殺したくらいだろうか、雨が降った後のグラウンドのように血があふれていた、俺たちの周りにも、離れた家の裏からも、何も考えたくない、何も感じたくない、なんでこんなことに・・・


そう考えていたとき、死体の山の1つがピクリと動いた、死後硬直?いや違うか、あれはもっと時間が立たない・・・と・・・じゃあいったい


青い服を着た誰かが棒を加え、そこから出てきた一つの弾が死体の山に近づいていた村長の頭にあたり、少し曇った笑顔を浮かべたまま倒れていった


青年が加えていた棒が血の池を転がり村長の足にあたる


ああ、なんで


何も言わず・・・ゆっくりと・・・優しく・・・その温かさが・・・俺を一瞬で包み、頬に自然と涙が伝う

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月を見ていたら異世界にいました きよグ @isagin

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