ネコのお話

 虹乃ノラン様の自主企画『カクヨム猫部』に参加するためのエピソードです(笑)


 私は自他ともに認めるネコ派です。

 もちろん犬も好きですが、それ以上にネコが好きなんです。


 で、今回は私がかつて実家で飼っていたネコの話です。


 ネコを最初に飼ったのは、一九八九年の十一月ごろ。

 もちろん実家。当時私は高校一年生ですね。

 ある時、うちの親にくっついて、トコトコと一匹の野良猫が玄関に入ってきちゃったんです。

 普通野良猫って逃げるはずなのに、なぜか。

 それがまた可愛い子でして。

 典型的なキジトラの和猫ですが、すらっとした尻尾がきれいでした。

 んで。

 可愛かったのでついついミルクをあげたのですが……。

 当時、父は仕事で家にいなくて、私も弟たちも当然学校で昼間はいなくて、母もパート始めたばかりで家にいないので、動物は飼えないよね、となったので飼うのは諦めざるを得ず。

 かといって、うっかりミルクなんてあげたから懐かれても困るし……というわけで、家から数百メートル離れた公園まで連れて行ってそこで放したのですが。


 翌日、学校から帰ってきたらその子が家にまたいまして。これはもう諦めよう、となって我が家に住み着くことになりました。


 動物を飼うのは初めてでしたが、ネコなら毎日の散歩とかは要らないし……というのも後押しになったのはあります。

 『ハピ』と名付けられたその子は、おそらく推定半年未満くらい。

 とても可愛い子で、特に私と母に懐きました。

 ちなみによく私のベッドの中に潜り込んで寝てましたが(笑)

 一回、ちゃんと羽毛布団に潜り込んで、頭だけ布団からだして枕に乗せて寝てたことすらあります。

 トイレとかも設置したらちゃんと使ってくれて、とても楽だったのは覚えてます。

 まあ、ネコは本能的にトイレは使うらしいですが。

 あ、もちろんちゃんと避妊手術はしました。


 そして、それからだいたい三年後。

 もう一匹増えることになりました。


 ある時、下の弟が『猫拾ったんだけど』といって……手を出すと、そこにいたのは体長十センチほどの黒い小さな生き物。

 確かによく見るとネコだったんですが……まだ目も開いてない。

 というか、まず間違いなく生まれて一週間程度しか経ってない、赤ちゃんネコでした。ネズミに見えたくらいです。

 なんか道端に落ちてたらしく。

 今考えてもよく見つけたな、と思うのですが。

 親猫はどうしたんだろうとは思うんですが、とにかく動物病院に連れて行って診てもらったのですが……。

 獣医曰く『多分生き残れないと思う』とのこと。

 これだけ小さい子猫を人が育てるのは難しいらしく。

 なのですが……これに関しては下の弟がものすごく頑張りました。

 ミルクの世話をして、おしっことかも対処してあげるのを、文字通り一日中。

 私や母も手伝いましたが。

 そしてその甲斐あってか、なんと元気になってすくすくと育ちました。

 ちなみにトラジマだったので、『タイガー』と名付けられました。

 あ、男の子です(当然成長してから去勢処置はしました)


 この子はほぼ間違いなくアメショが混じっていたと思われ、あまり大きくならない子でした。

 また、尻尾が特徴的で、やや太く短くて、途中で折れてたんですよね。長さ自体は五センチほどで折れてて、その先は三センチもないくらい。

 なので、尻尾を床にぽん、とつけると『ぼんぼん』という音が鳴るという(笑)


 で、この子は……なぜか私にものすごく懐きました。

 下の弟にも懐いていたのですが、特に私に。

 なお、真ん中の弟は嫌われていたのか、寝てる時に耳をかじられたことが……私とかは一度もそういうことはないのに。

 あ、ちなみに私のぺけったーのプロフィール写真がタイガーちゃんです。

 まだ小さい頃でしたが、よく、立ってる私の足元にきて『うずうずうずっ』とするので、手を広げてから胸の辺りを『とんとん』と叩くと、ぴょん、と飛び上がって胸にしがみついてきました。

 ちなみに横抱きの嫌いな子で、いつも縦に抱えて、頭を私の肩に乗せていました。

 なお、ハピちゃんは横抱き大好きでした(笑)


 ちなみにこの二匹、仲がいいのか悪いのか、という感じでしたが、よくケンカとまでいかないけどドタバタやりあってました。

 なお、身体のサイズの問題か、ハピちゃん全戦全勝でしたが(笑)


 また、上記の様な経緯から、ハピちゃんは家の外のことも知ってるので、よく隙を見ては脱出し、しばらくしたら帰ってくるということをよくやってました。

 ちなみに時々誇らしげに戦利品を見せてくれたりします。

 トカゲやセミならまだいいのですが、一度雀もありました……庭の片隅に埋めましたが。


 なのですが、タイガーは逆に家の外を全く知らないので、窓が開いていてもビビるだけで外にはほぼ出ませんでした。


 そうして数年が過ぎたのですが……ある時から、ハピちゃんが急激に痩せていってることに気付きまして。

 ごはんは食べてるし普段元気なので一時的かと思ってたのですが……ついには後ろ足がつま先で立てなくなってて、さすがにオカシイと思って動物病院に連れて行ったのです。

 そうしたら、なんと糖尿病であることが発覚。一九九八年の十一月でした。

 ネコにもあるんですね……。

 足がちゃんと動かなくなってるのは、糖尿病末期の症状で、足の神経がまともに機能しなくなっているため。


 この時点でハピちゃんは推定十歳前後。人間でいえば五十歳から六十歳。

 一番懐いているのは私と母で、正直どうするか、ものすごい悩みました。

 ネコの糖尿病の治療は基本的に人間と同じで、インスリン注射です。

 ただ、人間と違う点というか、致命的な点が一つ。

 人間は理解して注射しますが、ネコは理解しません。当然注射なんて嫌でしょう。

 さらに、インスリン注射は場合によって低血糖状態を引き起こしてしまうリスクがあります。

 人間であれば自身の不調に気付けるので、例えばチョコレートを食べたりとかで回復できますが、ネコはそれができません。

 なので、常に見てなければならない。

 果たしてそれができるのか。

 本当に悩みました。

 一度は、望まぬ注射を続けるくらいなら、このままという話にもなりました。

 が。

 多分自分たちが後悔すると思って、治療することにしました。

 正直、獣医にもここまで進行した糖尿病は、治療をしても長く持たない可能性は高く、もって数ヶ月だろうとは言われていたので、覚悟したのです……が。


 ところがここから、なんとハピちゃんは七年間も生きました。

 どうも、インスリンによる治療が極めて効果的に効いたようでして。

 足がぺたんぺたん、と足裏全体がついてしまうようになってて、階段上れないくらいになっていたはずが、なんとそれも回復して、かなり元気になったんです。

 発病する前のように太った状態にはなりませんでしたが、それでも多少ふっくらして来たし。

 獣医さんもびっくりしてました。


 私はその後、実家を出てしまったのですが、その時もまだハピちゃんは健在で。

 たまに実家に行くとにゃーにゃーと可愛い声ですり寄ってきてくれました。

 あ、もちろんタイガーちゃんも。

 そういえばタイガーちゃんはほとんど啼かない子でして。

 たまにないても、『にゃー』というより『みぃー』というすごく細い感じの鳴き声でしたね。

 それはともかく。

 

 私が家を出たのは二〇〇三年の六月で、その後も実家にはそこそこ行ってたのですが、その目的はほぼ百パーセント、ハピちゃんとタイガーちゃんに会うためでした。

 マンションだったのでネコ飼えなかったし。


 そして――結婚する少し前、二〇〇六年の二月。

 この頃になると、推定十七歳のハピちゃんはそもそも人間の年齢換算でも九十歳くらい。冬の寒さもかなり堪えるらしく、元気もあまりなくなってました。

 また、インスリンの量や効果の確認のため、たびたび入院を繰り返していたのですが、その入院中に旅立ちました。

 正直、この時の冬はもう無理じゃないかとは話してはいたのですが。


 私は仕事中にこの訃報を受け取ったのですが、今でもよく覚えてます。

 ちょっと呆然としつつも「そっか……よく頑張ったね」と思ったのを覚えてます。


 ハピちゃんはホントに人懐っこい子で、普通ペットなら怯える動物病院ですら、すぐ馴染んでしまう子でした。

 獣医さんも驚くほどに。

 食欲はどこでも旺盛だったし。

 場所が変わることに対するストレス?何それ、という感じで。

 だからこそ、糖尿病を患っても七年間も生き続けたのだと思います。


 数日後に荼毘にふして、お骨になった時にまた号泣してしまいましたが。

 ただ、実は未だに骨壺は実家にあるそうですがね……母が一緒に入れたいと言ってるらしい。


 んで。

 実はこの話はこれで終わらず。

 当時タイガーちゃんは推定十三歳で、まだまだ元気でした。

 その、はずでした。


 ところが、ハピちゃんが逝ってからわずか一か月後。

 突然、タイガーちゃんも逝ってしまいました。

 正直、ハピちゃんは覚悟してました。

 けど、タイガーちゃんはホントにマジで完全に不意打ちでした。

 実際、わずか一か月前にハピちゃんの葬式関連で実家に行ってた時は、とても元気だったんです。

 それが、本当に突然。

 正直あり得ないほど落ち込みましたね……。

 偶然ではあるのですが、この時私の家に今の相方が来てくれてたんです。

 いなかったら、ちょっと本当にやばかったかも。

 なので急遽、一緒に送ってもらいましたが……。


 母と二人、「ハピちゃんについていったのかな」と話してたのを覚えてます。

 というか今でも思い出すとちょっと泣きそうになりますね……覚悟全く出来てなかったので。

 人とネコの違いはあるでしょうが、事故などで突然家族を失うと、こういうものなのかと思いました。心の準備が全く出来てなかったですから。


 タイガーちゃんが逝った数日間はホントに結構ヤバイ精神状態でしたね。

 ホントに一緒にいてくれた相方には感謝です。


 そんなわけで実家はネコはいなくなった……のですが。

 実は今でもネコはいます。

 家の中ではなく、外に。

 スマホアプリの『ねこあつめ』じゃないですが、なんかそんな感じにネコがよく庭先に来るそうで。

 なのでいつも餌を置いているそうです。

 あ、ちなみにちゃんと去勢、避妊処置はしてます(というか捕獲運搬手伝った)

 ネコの面倒見るなら必須です、うん。

 時々入れ替わったりしながら、今もよくやってくるそうで、ハピやタイガーに似てる子を見ると今でも思い出すそうですが。

 実家に行くと、たまに私も見ますね。


 なお、

 今は我が家にもネコがいます。

 野良猫を保護した子ですが。

 ただ……なぜか私は恐れられてます。

 なぜだ(つД`)

 でもいつも逃げるわけではなく、顔の耳の後ろとかかきかきしてあげると、まんぞくげーにしてますが(笑)

 近況ノートに時々写真が載ってるのはこの子です(w


 あ、名前は『グレイ』です。

 ただ、ほぼほぼ家では『レイちゃん』とか『レイぴょん』とか呼ばれてます(笑)

 写真見たい方は以下の近況ノートからどうぞ。

 ちなみにこの子は女の子ですね。


https://kakuyomu.jp/users/masaki-i/news/16818023213183562995

https://kakuyomu.jp/users/masaki-i/news/16817330669368800126

https://kakuyomu.jp/users/masaki-i/news/16817330669139147093

https://kakuyomu.jp/users/masaki-i/news/16818023213711960284


あと追加。

昔のハピちゃんとタイガーちゃんの写真が見つかった……。

写真というかなんかストーリー仕立て……(何)

http://mrg.sakura.ne.jp/pm/profile/neko_battle.html

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