食べ物の話その1

 他にもするかもだから、その1とつけてみました。


 最近は(主に健康的な理由で)いくらか控えてるのですが、私は基本的に揚げ物が好きです。

 特にいわゆるパン粉をまぶしたトンカツやメンチカツ、コロッケ、ハムカツ、エビフライ、カキフライなど。

 まあ嫌いという人もあまりいないと思いますが。

 海産物系はアレルギーの都合で食べられない人もいるかもですが。


 それはともかく。

 揚げ物、特にパン粉を使って作るあれの目的は、基本的には食材の包み込み。

 それ単独では癖が強い食材のにおいをごまかすのもあるでしょうが、もう一つは、多分『食べやすくする』効果もあると思います。

 わかりやすいのはコロッケでしょうか。

 コロッケは基本イモをふかしてつぶして……うん、私は(親の手伝い以外で)作ったことがないので割愛。とにかくあれはあのままでは当然ですが食べにくい。

 それを、衣をつけることで食べやすくするという効果があります。

 また、中に熱を伝える際に衣というガードがあることで、焦げ付かず、しっかりと味をつけるという効果もあるでしょう。


 最たるものは多分海産物系のエビフライやカキフライ。

 エビフライのあのプリっとした食感は、むき出しのエビで再現するならボイルするしかない(揚げたら油を吸い過ぎる)でしょうが、多分違うものになりそう。カキフライとかは多分カキが縮むのではないでしょうか。

 あと、コロッケはまあ言わずもがな。


 ちなみに、日本のパン粉と海外のパン粉は、結構異なります。

 日本のそれは、いわゆる『生パン粉』と呼ばれるもので、パンを砕いて作ります。

 乾燥させたものもありますが、基本パンオンリー。その粒は基本的に大きめで、仕上がりの際の『サク』とした食感は、あのパン粉だからこそのもの。

 対して欧州などのパン粉は、基本的に乾パンやビスケット、クラッカーなどを砕いたもので、粒が非常に小さい。また、その見た目故か味付けをすることも多い。


 前に近況ノートでもネタにした、ブラジルで食べたとても美味しかったチキンカツレツも、衣にはっきりと味付けされていたものでした。

 そもそもで、欧州などではカツレツは最初から味付けされているのも普通にあります。この辺りも日本のカツ(フライ)とはかなり異なります。

 なので、ソースとかはつけないで食べるわけです。

 また、衣が非常に薄いことが多いのも特徴で、日本のカツやフライと西洋のカツレツは食感からして根本的に違います。

 というか、一般的に日本のフライと西洋のフライ(カツレツ)はほぼ違う料理と見た方がいいかと。


 ちなみに日本のパンが海外の(例えばフランス)パンなどと比べて非常に柔らかいのは、一つには使ってる水の違いが大きいです。日本の水は基本軟水(カルシウム等の量が少ない)に対し、欧州の水は硬水で、それに加えて水を多く含ませる独自の製法を取るため、パンが柔らかくなります。


 これは、パンを保存食としてとらえていた欧州と、明治維新以後にパンが入ってきて、パンを保存食とする必要がなかった日本との違いでもあります。

 欧州では小麦が主食ですから、保存食にしなければならなかったのですが、日本や中国(南部)はコメがあったので、小麦を保存食とする必要性がなかったんですね。

 米の方が運搬等にも優れているというのもありますし。

 これが古代~中世の東西での軍隊規模の違いにも影響するのですが、それは今回の本題ではないので割愛。

 ともあれ、いわゆるハードタイプのパンと日本のパンではその保存可能期間がまるで違う。『乾パン』は保存食の代名詞みたいなところがありますね(相方は燻製肉でしょうか)


 そんなわけで、それから作られる『パン粉』も全く違う性質を持つわけですね。仮に同じパンを使ったとしても、非常に柔らかい日本のパンと違い、固い外皮を持つ西洋のパンでは、その硬さは全然異なる。

 よって日本みたいに『粗い』パン粉なんて作ろうものなら、固すぎて地獄を見ます。口の内側を傷つけちゃうんじゃないでしょうかね。

 そのため、粒が非常に細かいわけです。


 ちなみに日本のパン粉は海外でも最近人気らしいのですが、完全に別物として扱われているそうです。『PANKO』という名称で売られていることもあるらしい。

 この辺り、『KANIKAMA』とかが人気なのに通じるものがありますね(笑)


 話がそれた。

 さて、そんな日本のパン粉で包んだ各種フライですが、私も調べてからへぇ、と思ったのですが、これの発祥は、つまり日本なんですよね。

 もちろん、西洋のパン粉を使った料理は西洋にもあります。

 ですが、日本のパン粉を使ったあの『サク』とした食感のフライは、明治維新後に作られた新しい料理なんです。


 トンカツがそうだというのは知ってましたし、そもそも天ぷらがポルトガルから戦国時代に伝来した料理をアレンジしたものだというのは知ってましたが、パン粉をつかったそれは本当に新しかったようで。

 ただ、その食べやすさと美味しさ、新しさで『洋食の代表』的な感じで普及したようです。


 ちなみに海外にフライ料理ですぐ思いつくのは、イギリスのフィッシュアンドチップスの白身魚のフライや、スコッチエッグですが、前者は本場イギリスではフライというより小麦粉をまぶして作った天ぷらのようなもので、後者は色々写真当たりましたが、日本の様に生パン粉を使うものではなく、やはり細かいパン粉を使うか、そもそも衣がないパターンもあるようです。日本は生パン粉使って作りますが。


 ちなみにフライ料理で私が一番好きなのは、意外かもですがメンチカツです。

 まあこれ、ハンバーグに衣付けただけじゃん、という説があるしそれを否定はしないのですが、メンチカツとハンバーグではやっぱ同じ料理ではないと思います。


 一番の違いは、当然ですが衣の存在。

 あれのおかげで、メンチカツは肉の旨味を全く逃すことなく食べることが可能でしょう。美味しいハンバーグは、よほどうまく作られて、かつ上手く食べないと、どうやっても旨味が溢れます。かといってまさかお皿をなめるわけにはいかず。

 ですが、メンチカツの場合、多少溢れてもそれが衣に吸われて、衣の旨味を増す。

 これはある意味ハンバーガーとかにも同じことが言えますね。

 要するに、旨味を逃がさないための料理なんじゃないかと。


 まあこれはフライ系全般にも言えることで。

 要はフライは、トンカツとかのいわゆる切ることを前提にした『カツ』はともかく、それ以外のものって食べやすさから生まれているんですよね。


 それが一番わかりやすいのがメンチカツで、ハンバーグを店頭販売して、紙で包んで食べるケースってまずないでしょうが、メンチカツって普通にあります。

 これはハンバーグの場合、そうやって提供するとせっかくの旨味が包装紙にしみだしてしまいますが、メンチカツではそれは全部衣が吸収してくれる。


 冒頭で衣をつける料理は癖の強い食材の匂いを誤魔化すためと、食べやすさの為と書きましたが、スナック感覚で売られて、あまり行儀は良くないですが、歩きながらでも簡単に食べられるのは、フライ系料理のもう一つのメリットだと思います。

 なんせ片手で持って食べられる。これはたこ焼きとかにはないメリットです。


 じゃあなんであまりお祭りとかでは提供されてないのかと言えば、大量の油が危ないからでしょうね。

 祭りの屋台ででっかいフライヤー使うのは、許可下りないんじゃないかな。もし地震が起きて油が溢れたら危な過ぎるから。これは推測ですが。

 だからお店とかではともかく屋台では提供されないのかと。

 持ち運びも大変ですしね。


 ちなみに本当に特別な店はともかく、我が家でメンチカツで一番おいしいと思ってるのは、新横浜にある『野本畜産』という肉の卸売り店のメンチカツ。

 本当に美味しいお肉を安く売ってるお店で、うちでも特別な時(正月や実家で集まってBBQやる時など)にはそこで大量にお肉買ったりするのですが……。

 その時に一緒に買うのがそこで提供されてる惣菜。具体的にはメンチカツとコロッケ。これが本当に美味しいんです。

 肉の旨味が衣にまでしみ込んでいるのか、衣だけでも美味しいほど。味付けされてないとは思われるのですが。

 これはこれで、ある意味単体で完成された料理です。なんせ何もつけなくても美味しいですからね……。


 まあ、それでも過去一番おいしかったと思うフライ料理は、前に近況ノートでも触れたブラジルで食べたチキンカツレツですが。

 あれは本当に美味しかったなぁ……。

 ただ、次点はこのメンチカツになるかもです。数ヶ月に一度は食べてますが(笑)

 店のある場所がちょっと不便で、基本IKEAに買い物に行くついでに買うことが多いのですが。


 そういえば、メンチカツを使った料理をもう一つ。

 ちょっと名称を忘れてしまった……あ、調べられた。『ごちそうハンバーグ』というメニューでした。松のやというトンカツ定食を提供する、松屋(牛丼チェーン)の系列のお店があるのですが、この店で提供されていた料理です。

 どういうものかは『ごちそうハンバーグ』で調べてもらえば出てくると思いますが、これ、完全にハンバーグ作って、それをさらに衣で包んでから揚げてあるという料理。検索したら出てくる記事にも『メンチカツじゃないか』というようなコメントもありましたが、私らもそれは思いました。

 なのですが。

 これがとても美味しかった。

 たっぷりのソースで衣がソースでふやけると思う人がいるでしょうが、これ、逆にそれが美味しかったんです。

 どういうことかというと、提供された直後はまだ衣はサクサクで、その食感も楽しめる。そしてソースに浸してると、今度は肉の旨味とソースが混ざった衣が楽しめるという感じの料理でした。

 子供達も大好きで、私も相方も本当に美味しかったと思うのですが……。

 今はメニューにありません。

 確か二回ほどしか登場してないんじゃないでしょうかね。

 ちなみにソースは種類があったのですが、どれも本当に美味しかったです(つまり全種類食べた)

 ……やべ。書いてたらお腹空いてきた(笑)


 あと最後に一つ。

 過去見たことがある『揚げ物』で一番、どうやって作ってるのか分からなかったのがあって、それが何かというと、メニュー名『アイスクリームの天ぷら』という。

 外観は丸い直径十センチ弱のコロッケ。

 なのですが、その分厚い衣の中から出てくるのは、ホントにアイスクリームなんです。

 でも、明らかに外側は揚げられた衣です。

 ちゃんと綺麗にきつね色です。なんなら、ほんのり暖かい。

 あれはホントにどうやって作ってるんだ……。

 ちなみにこのメニュー、『白雪姫の家族』で出てきた焼き鳥屋のメニューでした。

 過去形になってるのは、実は残念ながら、今はメニューから消えてるんです(少し前にメニューを大幅変更したらしく)。なのですが、帰り際に店員に復活希望してきました。してくれないかなぁ、あれ。

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