小説の分類の謎というか

 単にこれは私が分かってないだけという可能性の方が高いのですが。


 ライトノベル、なろう系、純文学、大衆文学、文芸など。

 小説の分類を示す名称というのはいくつかあるわけですが……。

 正直、これの区別がよくつかない。

 特に『ラノベ系で~』などと書かれているけど、そもそも『ラノベ系』というのがどういうものなのでしょうか、という。


 唯一わかるのは、純文学と大衆文学。

 これは実際に定義が存在するし、区別もできます。

 純文学は、いわば芸術性、文章としての美しさを求めたものであり、大衆文学は娯楽性を追求したもの。

 まあこの区分けも、近年やや曖昧になってるようですが、それでも定義としては存在する。

 ここまではいいんです。


 問題は、それ以外。

 おそらく上に挙げたものは、純文学以外はことごとく娯楽性を追求したものであり、大衆文学に属するのは確実だと思いますが……。

 特に、良く聞く『ラノベ系』ってなんでしょうか、という。


 昔、ラノベの定義ですごく納得したのは『文字で書いてある漫画』というもの。

 例えば田中芳樹の『銀河英雄伝説』や『アルスラーン戦記』、あるいは小野不由美の『十二国記』、森博嗣の『全てがFになる』等。これらは分類上はラノベとは呼ばれない類だと思います。

 あれらと比べると、例えば『スレイヤーズ!』や『フォーチュンクエスト』、あるいは最近で私が持ってるのだと『働く魔王様!』などは、ものすごく読めます。

 それこそ、漫画の様な手軽さというのは納得できる話。


 なのですが、じゃあその定義は、というと……。

 極論、ページ当たりの文字数、あるいは文字サイズや一冊当たりの分量くらいしか定義がない気が。

 あとは『表紙がカラーでキャラの絵が描かれている』『挿絵が多い』などはありますが。

 極論、私の中では『ラノベ』は製本上の分類以上のもの、言い換えれば『ラノベ系レーベル』だからラノベ、という感じです。

 ちなみに、今ではたくさんあるラノベ系のレーベルは、ほとんどは1980年代末頃に誕生しています。

 多分最初の人気ライトノベルの一つ、『ロードス島戦記』ですが、あれは最初角川文庫から出版されてます。その後、角川スニーカー文庫が分離して、そっちに移ってますが、私が持ってたのは角川文庫版でした(笑)

 前後して富士見ファンタジア文庫、電撃文庫と創刊され、今では二十以上のレーベルがひしめき合う一大ジャンルとなっています。


 ただこれは、製本上の分類。

 小説そのものの内容において、『ラノベ系』というのがどういうのか、という定義ではありません。

 まあ、より平易かつ読みやすさを優先したもので、難しい言い回しなどを極力避ける、というような定義はあるいは可能かもですが、上記に挙げた『ラノベ』に分類されない作者でも、読みにくいわけでも難しい表現を無理に使ってるわけでもないし、ラノベに分類されている小説を書いてる方もいます。


 言い換えれば、カクヨムは他のサイトみたいに表紙を付けたりも出来なければ、作中に画像を挟むこともできない(欲しいと思うこともあるのですが)ですので、『イラストがある』といった定義があると全部ラノベではなくなる。

 ただ、軽く読める、という意味で『ラノベ的』だとは思ってますが、そもそもで言うと、おそらくカクヨムの大半、特にファンタジー系、ラブコメ系のほとんどは『ラノベ系』だといえると思うのですが……そう定義するまでもなく。

 逆に、冒険小説の類なんてラノベじゃないやつだと、他に何があるんだ、と思うんですが……なぜかそこを区別できてる人もいるようで。

 なのでそのあたりの分類の定義を知りたいです。


 これは『なろう系』と呼ばれるものも同じで。

 極論、確かに『小説家になろう』から発生し、流行った『テンプレート的な』作品の分類というのはある程度あるでしょう。

 前に気になって、この『テンプレート的』とされるのがどういうものか調べたんですがね。

 あるサイトに書いてあった条件を並べてみると……。

 拙作『転移直後に竜殺し』はほぼ完璧に、テンプレートをなぞった作品でした。

 なのですが、いただいた感想やレビューなどでは『テンプレート的ではない』と評価いただいていることが多いです。

 まあ、書いてある要素が『異世界転生』『特別な力がある』『最終的に高い地位に昇り詰める』といったのがテンプレートというなら、なんと十二国記すら該当しかねませんが、あれを『なろう系』だという人は……まあ一人もいないでしょう。


 まあテンプレート的かどうかはこの際いいとしても、そもそも小説の分類として、極論すると『ラノベではない』小説に何があるのか、というのが謎で。

 大衆小説と呼ばれる小説のうち、一部の、さらに手軽に読める小説が『ライトノベル』と呼ばれるところまではいいとして。

 カクヨムにある小説の内、純文学は別にして、それ以外のもので、かつ『ラノベではない』ものって……なんでしょう、という。確かにホラーやミステリーはライトノベル的ではないものもあるかもなので、それは除いたとしても、ファンタジーモノ、恋愛モノ、SFなどは大半がラノベに分類されないでしょうか。

 ハードSFという分野はかつてあった気がするので、そういう作品はあるかもですが、大半はラノベになるよね、という気が。


 表現とかの違いとかなんでしょうかね。

 例えば完全な一人称で書いてあったらとか?

 ただそれを言ったら夏目漱石の『吾輩は猫である』は、見事に一人称小説ですが、あれをラノベという人は……多分いないでしょう。

 擬音とかが派手に文章内に出てきたら?

 それだと『竜殺し』などは該当しませんが、そもそもラブコメとかだと擬音なんてないこともあるけど、ラノベですよね。


 という感じで、ホントに『定義』が分からない。

 分からないのですが、あちこちで見る限り、なんか明確な定義がある様な書き方をしてる人が多い。

 内容による分類ならわかります。

 冒険小説、推理小説、ホラー小説、恋愛小説(ラブコメ含む)といった分類。

 けど、純文学と大衆文学といった分類は、内容ではなくその方向性による分類。

 なのですが……ライトノベルって分類って、どういうものなんでしょうかね。


 いや、ホントに私が知らないだけでどこかに明確な定義があるのかもしれませんが、Google先生とかで探しても見つからなくて……。

 Wikipediaでは『業界内でも明確な基準は確立されておらず、はっきりとした必要条件や十分条件がない。このため「ライトノベルの定義」については様々な説がある。』と書かれてますし。


 単に私が不勉強なだけかもしれません。

 ただ、『ライトノベル』という定義は、およそカクヨムその他WEB公開の小説を含めたほとんどのもおに適用される分類だとは思ってるので、『ラノベではない』というのがホントに分からないんですよね……。

 だれか識者のご意見下さい……結構マジで。

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