実る石榴色の君

　肉体が宝石化していく不治の病、宝石結晶病。それが蔓延る世代に生きる灰塚和は、クラスメイトの岩井くるみがふらついた身体を支えたところ、彼女の腕が硬くなっていることに気がつく。
　くるみが宝石結晶病であると確認した和は、今までいなかった者。いずれ死ぬことが確信しているクラスメイトを放っておくことができずに、意識を消すことができない。
　そのうちに再び倒れそうになったくるみを助けて感謝されたことで、できることがないか？　と口走ってしまった。
　すると、くるみは偽物でいいから恋人になって欲しい。交際を経験したいと告げる。これで最期というくるみに、和は不器用ながらも頷いて彼氏役を買って出た。
　しかし、その順調な関わり合いと反比例するかのように、くるみの症状は悪化の一途を辿っていく。二人の偽装はいつまで続くのか。最期のときは……？