第4話 ボケていた勇者
酒場で聞いた勇者様の
しかしその家に人の気配は無い。
「いつもはその家の近くの川で釣りをしてのんびり過ごしているみたいだよ」
さっきの酒場で聞いた話を思い出しながら、近くを流れる川の方へいってみる。すると、初老の男が釣りをしていた。
「勇者ジオさん?」
ジャックは釣りの邪魔にならないよう小さな声で、かつ手短に
「んー?」
初老の男はゆっくりと振り向くと、視力が衰えていて良く見えないのか顔をしかめながらジャックの顔を
ピクシーはこの時、初老の男の反応に若干の違和感を感じ取って不思議そうな顔をした。しかし何がそう感じさせたのか、その理由を明らかにすることは出来なかったようだ。
「勇者のジオ様でいらっしゃいますか?」
老いたりとはいえ、
しかしその答えはジャックの期待を大きく裏切るものだった。
「う……ん? わしの名前……??? はて、なんじゃったろうか? ……お主がジオというなら、そういう名前……だったかも、しれんのぉ」
発した言葉は少ないものの、その全てを聞き終えるのを待つには多少の忍耐力を必要とするほどゆっくりと初老の男は言った。
会話のテンポに
「四〇年前に魔物を撃退した勇者様でしょ?」
「なんでこんなところでぼけーと釣りしてるの?」
「奥さんとかいないの?」
「勇者様なのになんで町のみんなから放っておかれてるの?」
何か聞く必要が無い……というより
「……」
しかしジャックの心配は
「もしかしたらボケちゃってるの?」
先ほどまでの質問に輪をかけて失礼な言葉を投げかけたピクシーに
「これはなかなか大変な仕事になったな」
ジャックは行き来に時間がかかるだけのお使い程度の仕事だと高を
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