死にたい美少年の女遊び

　本作はピカレスクロマンの雰囲気と軽快な文体で描かれた興味深い作品です。物語は高校一年生の夏休みから始まります。主人公の彩人は死にたいという思いを抱え、両親に告白しますが、そんな彼のもとに一通のメッセージが届きます。

「どうせ死ぬなら……」

　この一言から、最低で最悪な、そして最後の女遊びが始まるのです。彩人を取り巻くクラスメイトたちは、愛憎という感情の狂気の渦に巻き込まれていきます。

　この物語では、愛を知らない美少年と、恋に恋する無垢な少女たちが登場します。彼らが果たして一体何を望んでいるのか、また彼らの関係がどのような展開を見せるのか、読者はワクワク(？)しながら物語を追いかける…続きを読む

最初が年表風。たたみかけるような事実の羅列の途中で目が点になり、前のめりになり、引き込まれた書き出しでした。