第3話 赤ちゃんは黄金鳥が連れてくる
レオはまず、人間という生き物をあまり、見たことがないのを忘れてましたわ。
彼の持っている知識はあくまでこの島の魔物が与えたものに過ぎないから、色々と欠けているのだわ。
まず、男女の差が分かってませんもの。
わたしもはっきりと分かっている訳ではないですけど、互いに欠けているものを補い合う関係だから、大事なのですわ!
たぶん。
そして、今。
レオと手を繋いでお家をどこに建てるのか、検討中です。
お
「そうなの?」
「ええ。男の子は何か、ついているでしょう?」
「うん」
「わたしにはないわ」
「うん。ピンクの……あいたっ。酷いよ、リーナ」
「それ、口にしないのっ!」
「分かったよ」
たんこぶを押さえて、涙目で痛がっているレオがかわいいから、もっと見たくて頭を叩いた訳ではないのに癖になりそうでいけませんわ。
でも、レオは釘を刺しておかないと外で何を喋るか、分からないもの。
純真無垢なのも考え物ですわね。
「お互いの欠けている部分を合わせることで完全になれるらしいの」
「言っていることがよく分からないよ」
「わたしは大人だから、分かるわ。レオはまだ、小っちゃいから、仕方ないのよ」
なんて言ってみたけれど、本当はよく分かってませんの。
大人の証という月の障りは始まったのですけど……。
本当は何も知らないの。
淑女教育でも習いませんでしたから。
「そんなことないよ! 僕だって、もう大人だい」
強がって見せるレオもかわいいですわ。
でも、絶対、大人ではないと思いましてよ?
小さいんですもの。
頭を撫でるのにも丁度よくて、抱き締めると胸のあたりに顔がきて。
そうしていると何だか、甘えているみたいで本当に子供みたい。
わたしよりも小さくて。
それでいて、折れない強くて、優しさに溢れた心を持っていて。
わたしの大好きな小さな勇者様。
「出ているのと引っ込んでいるのを合わせれば、いいんだよ」
エッヘンと言わんばかりに誇らしげに言ったレオにわたしは目を丸くするしか……。
「んんん? つまり、どういうことですの?」
「僕のはついていて、出ているよね。リーナのはピ……じゃなくて、引っ込んでるんだろ? だから、出ているので穴を埋めれば、いいんだよ」
穴が埋まる?
レオが何を言っているのかが分かりませんわ。
「そうしたら、赤ちゃんが出来るのかしら?」
「きっと、そうだよ」
「わたしはこう聞きましたの。愛し合う男女のところに黄金鳥が赤ちゃんを連れてくるのですって」
「そうなの!?」
わたしはレオと愛し合っているのかしら?
少なくともわたしはレオのことを好き。
大好きだわ。
この気持ちは誰にも負けないと思うから、これが愛なのかしら?
でも、レオはどうなの?
「レオは……わたしのこと、好き?」
「好きだよ!」
即答なの!?
両想いですわ~!
考えないですぐに答えてくれましたもの。
お目目がキラキラと輝いているから、信じていいのよね?
ううん、ダメだわ。
レオの好きは本当に好きか、怪しいですわ。
「お
「うん、好きだよ!」
ほら、思った通り……。
レオの好きは好きでもわたしの考えている好きとは違うのだわ。
「どうしたの、リーナ。難しい顔して」
「ねぇ、レオ。わたしのことが本当に好きなら、一緒に赤ちゃんをつくりましょう?」
「僕とリーナが赤ちゃん……えええええ」
さすがに人目があると憚られますから、見つかりにくそうな藪に二人で隠れて、見させてもらいましたの。
「これは無理ではないかしら?」
「そんなにじっと見られると恥ずかしいよ。リーナの言ってたことが分かったから、もうやめようよ」
「僕のを見ていいよ」とあっけらかんと言っていたレオはどこへ行ったのかしら?
いざ、こういう状況になると恥ずかしがっているレオもかわいいから、好きですけど~。
じっくりと観察するとレオには小っちゃくて、かわいらしいものがついているだけですわ。
うん。
無理です。
赤ちゃんはまだ、来てはいけないのね。
それよりも……
「レオみたいで小っちゃくて、かわいい♪ ほらぁ」
「ち、ちょっとリーナ。ダメだって」
「ちょっと動いたわ!?」
「ダメだよ。そこ」
「面白~いですわ」
レオの小っちゃいのを指で触るのが、ちょっと楽しかったりしますの。
恥ずかしがって、頬を赤くしているレオの様子がまた、わたしの中の何かに触れますの。
もっとしたいって、言っているみたい。
ひとしきり、レオを
お家を建てる計画が台無しですわ!
余計な方向で盛り上がったのが失敗ですわね。
それに揶揄った後にレオに言われた一言が気になってますの。
「今度はリーナのも触らせてね。それであいこだよ」
どういう意味ですの?
単に負けず嫌いなだけよね。
え? 違いますの!?
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