第51話 やけになったお姫様
さすがにレオの反応に危機感を覚えましたわ。
シュティア柄よりもティーガー柄を先に着るべきですわね。
「がお♪ 襲っちゃうぞ♪」
「かわいい!」
判断は間違っていなかったと思うの。
まさかの同じパターンを貰うとは思っていなかっただけだわ。
さらに勢い余って、床に押し倒されるなんて、思ってませんでしたけど!
試着室が狭かったら、完全に事故でしてよ?
広くても完全に事故ですわ!
さっきは尻もちで済んでいたのに今度は完全に押し倒されたんですもの。
完全に胸を揉まれましたわ。
じかにもう何回も……。
ええ、レオになら、許せ……るのかしら?
許せる気がしてきたのですけど、何か、違う気もするわ。
もうよく分からなくなってきましたわ!
「いいわよ。モーどうにでもしてぇ♪」
もう深く、考えるのをやめました。
最後のシュティア柄では不安定な姿勢を取るのをやめですわ!
二度あることが三度あっては困りますもの。
腰を屈めるのをやめれば、危なくないのですわ。
おとなしめにすれば、良かったのよ。
胸を強調するように両手で組むだけにしておきますわ。
これなら、大丈夫でしょう?
「……うわ。
「はい。これで拭いた方がいいと思うわ」
「あ、うん」
レオが大丈夫ではなかったみたい。
刺激が強かったのかしら?
今日、鼻からの出血は二度目だわ。
「ごめん……リーナ」
「いいのよ。少しは気持ちいい?」
「うん」
休憩所の長椅子にレオを寝かせて、膝枕で休ませることにしました。
一日に二回も鼻血が出ているんですもの。
片手で軽く、
「もう大丈夫だよ。買い物しないと時間が……」
「いいの。気にしないで。レオの体の方が心配なの」
一応、買うべき物は買い終わってはいるのよね。
下着と水着は買ったでしょ。
それに天然素材の日焼け止めや新刊も買ったわ。
買い忘れた物はないわね。
「買い物は単なる口実よ? 買い物をしたかったけど、君と一緒にいたかったからだけだもん。同じ時間を過ごしたかっただけなの」
「そっか。僕も一緒……」
そう言っている途中で急に寝ちゃうから、びっくりしたわ。
安らかな寝息を立て、寝ている彼の前髪を直してあげると気付いたことがある。
レオはわたしに心を許してくれている。
だから、こんなにも無防備な姿を晒して、体を預けてくれているのね。
レオが目を覚ましたら、彼の欲しい物を買ってあげよう♪
満面の笑みを浮かべて、レオが喜ぶ顔を想像するだけで幸せな気分を味わえるわ。
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