第24話 いざお買い物タイム
百貨店に入る前に少々、ショッキングなことはありましたけど、ようやく入店することが出来ました。
吹き抜けになっているロビーを彩っているのは天井から、吊り下げられているきらびやかなシャンデリア。
それが名物にもなっていて、買い物をしなくても見に来る人がいる一種の観光名所のようにもなっているのよね。
「うわー。すっごいなー」
その目で見てしまったこの世界の現実にいつもの元気で快活なレオが鳴りを潜めてしまうかと思っていたのですけれど、杞憂だったかしら?
瞳をキラキラとさせて、キョロキョロしている様子はかわいいわ。
レオが元に戻って、良かった。
「なあ。姫さん。気になることがあるんですがねえ。お金の方は大丈夫なんですかね?」
「お金? リーナ、お金って何?」
「レオはお金を見たことがありませんのね? これですわ」
「ないよ。何だろう? きれいだね」
物入れから、すぐに取り出せる場所にあった金貨を一枚取り出して、レオに見せると早速、興味津々と観察してるわ。
「それがないとお前の剣も買えないし、姫さんの求める島に必要な物っていうのも手に入らないんだよ」
ある程度、レオに教えるのはネズミ君でも問題ないみたい。
それなりの見識の高さはあるようですから、余計なことをレオに教えない限りは見逃しておいて、あげるわ。
「お金なら、わたしも手持ちはあまり、持ってないの」
「はあ!? どうすんだよ、姫さん」
「あくまで手持ちは持っていないだけでしてよ? ヘルヘイムには名産品があるの。それを売れば、自由にお買い物が出来るくらいのお金になりますわ」
まず、
それに加えて、ヘルヘイムの地を闊歩する凶悪な魔物の骨や爪、牙といった素材も需要がありますもの。
軽く見積もっても大きな邸宅を買い取れるくらいのお金にはなるかしら?
「だから、何でも好きな物を選んでいいわ」
「リーナ! あれは何? 美味しそう」
「待てよ、レオー! お金! お金!」
何だか、学校みたいで楽しそうね、二人とも……。
串に刺した肉に香ばしい匂いのするタレをかけて、火で炙っているみたい。
食欲をそそったのかしら?
レオが誘われるようにふらふらと向かいましたけど、さっきの金貨があるから、平気よね。
「二人ともまだ、高い買い物はしてはダメですからね?」
「分かってるよー」
釘を刺しておいたけれど、大丈夫かしら?
レオは返事は元気でいいのですけど。
後ろ髪を引かれながらも買取業者のところへと一人で行くことになりました。
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