第41話 教育上よくない勇者
暫くの間、全員が固まっている間に茜色の光は弱まっていき、夜の帳が下りてきました。
宵闇が訪れたことでようやく、動き始めてから、気付く違和感。
シグムンドと名乗った方が一回り、小柄になったような……。
気のせいかしら?
「先程は兄が失礼致しました。私はシグリンド。シグムンドの妹です」
気のせいではなかったのね。
何だか、頭が痛くなる話になりそうですわね。
魔力灯に魔力を注いだので室内は、まるで昼のような明るさを保っています。
まぁ、このお家自体がわたしの
ただ、これがあると日が落ちて、暗くなれば寝るという自然の営みのバランスが崩れる可能性が高いので普及させるつもりはありませんけど……。
「私は……いえ、実際には兄なんですが! そちらのレオニード様に勇者としてのノウハウをお伝えするようにとある御方から、仰せつかったのです」
そう自己紹介をしたシグムンドにして、シグリンドな人……。
兄がシグムンドで妹がシグリンドでどうやら、二人は双子の兄妹らしいのです。
太陽が出ている時間帯は兄が出ていて、月が出ている時間帯は妹が出てくるという一つの体を共有する複雑な呪いを受けておられるのだとか。
さらに複雑なのはシグムンドは
二人が受けている呪いも恐らく、魔槍グングニルによるものだわ。
でも、神の怒りを買った理由が分からなくもないのよね。
これはわたしの予想に過ぎないけど、恐らく当たっているわ。
怒ったのは恐らく、
「シグルズは私と兄の息子。あの子を助ける為には何としてもレオニード様を一人前の勇者に育てなくてはいけないんです」
本当に頭が痛くなる話だとは思ってなかったのですけど!
レオにどうやって、説明をすればいいのよ。
まだまだ、あの子の常識は発展途上なんですからね?
やっと男女の違いと結婚について、少しくらいは分かってきたところなのに!
ここは逃げるわ。
「あなた様の事情は分かりました……。でも、今日はもう遅いですから、レオ君はもうお眠なの。お先に失礼させていただきますわ!」
「え!? ちょっと、リーナ」
状況が良く分かっていないレオの腕を引っ張って、寝室に退却あるのみよ。
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