第4話 夫婦だからベッドは一緒

 レオの一言で胸のドキドキが止まらなくて、苦しいの。

 レオに触られたら、どうなるのかしら?

 自分でも分からないわ。


 でも、レオが同じとは限らないわ。

 多分、彼は純粋な知的好奇心しか、感じていないのではないかしら?

 自分とは違うからだが不思議で触ってくるだけ。

 そこに愛があるのかは分かりませんわ。


 わたしがレオのを触ったのも単なる好奇心ですわ。

 だって、かわいいんですもの。


「はい?」


 話の内容が全く、入ってこなかったのは先程、レオとやり取りしたことが生々しく、頭の中で再生されていたせいですわ。


「本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ、父さん。僕達は一緒にことがあるんだ」

「何だと!?」


 おとう様の顔が一瞬、ものすごいことになりましたけど?

 一緒にのは事実でしてよ。


 お別れするのが辛くて、寂しかったから。

 せめて最後の思い出にと思いましたの。

 最後の夜くらいは同じベッドで一緒に寝たいとわたしが希望したのですわ。

 

 ただ、だけですのにどうして、そんなに深刻な顔をなさるのかしら?


「お前達がそこまでの関係なら、何も言わん」


 良く分からないですけど、何かが許されたみたい。

 何なのかしら?




 おとう様が難しい顔をされていた訳が分かりましてよ。

 夜の穏やかな星明りが照らす室内はぼんやりと薄暗くて、ちょっとロマンチックな雰囲気でした。


 こんな雰囲気の中で部屋にレオと二人きり。

 胸の鼓動がうるさいくらいに仕事をしていて、息苦しさを感じるのはなぜかしら?


「ごめんね、リーナ。部屋が狭いし……そのベッドも小さいんだ」

「え、ええ。か、か、かまわなくてよ」


 あ、焦ってなんて、いなくてよ!?

 レオとお別れすると思った日に一緒に寝たベッドはもっと大きくて、部屋も広かったので勝手が違うから、動揺しているだけですの。


 これは一人用のベッドではなくて?

 確かのあの日、一緒に寝た時はレオを抱き締めてましたけど……。

 もう少し、余裕がありましたし、別れのことを考えて、胸がいっぱいだったんですもの。


 ちょっと動いただけでも体が触れちゃいますわ。


「そろそろ寝た方がよくない?」

「そ、そうね」


 ベッドに二人で並んで座っていて、そんな近い距離で邪気の無い笑顔を向けられて、断れる人がいますの?

 わたしには無理ですわ!


「よいしょっと」

「きゃ!?」

「どうしたの?」


 レオはおもむろに立ち上がると服を脱ぎ始めて、あっという間に下着一枚だけに……。

 早いですわね。

 あまりの早さにじっと見ていて、恥ずかしいのですけど。


「僕のを触ったりしていたのに変なリーナ」

「あ、あれはその……かわいく、見えたから、小っちゃくて……レオみたいで」

「何か、小っちゃいって、傷つくなあ」


 そう言いながらも口を大きく開けて、朗らかに笑って見せるレオはかわいいのだわ。


「リーナは寝る時に着替えるんだよね? 後ろを向いた方がいいよね。終わったら教えて!」

「レオ……」


 しかもちゃんと約束を覚えていて、守ってくれるなんて。

 あの儀式の時のことを覚えていてくれたんだわ。


 服を脱がなくてはいけなかったから、後ろを向いて振り向かないで!

 言い方がちょっときつくなった気がして、後ろめたかったのですけど、レオはちゃんと守ってくれました。


 誰よりも優しくて、わたしのことを見てくれる……。

 だから、あなたのことが好きなの。


「す、す、すぐに終わるから、先にベッドに入って、寝ていて……よ、よろしくてよ」

「うん」


 声が震えたけど、ちゃんと言えたかしら?

 レオは元気よく返事をしてくれたけど……。


 シーツの布が擦れる音が聞こえたから、約束を守ってくれたのね。

 今、レオはこちらに背を向けて、横になっているはず!


 わたし、勝負に出ますわ。

 女は度胸ですもの!

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