第13話 姫の目論見
大人になるのも楽ではないわね。
月の障りの症状が重くて、辛いんですもの。
でも、わたしは苦しめられながらもただ、辛いだけではないと感じてますわ。
それはレオの存在。
彼の存在なくして、耐えられそうにありませんの。
レオは自分には何も出来ないと責めているみたいですけれど、そんなことないのに……。
ただ、手を握って、一緒にいてくれるだけで痛みが薄れるの。
障りが終わったのは六日後のこと。
ほとんど部屋から、出ないで寝ているだけ。
お風呂も辛かったけど、レオが手伝ってくれるから、どうにか入れました。
レオはわたしの体を見ないように苦労しているのが分かったから、その優しさだけで救われるんですもの。
ほとんど食べなかったせいか、ちょっと痩せた気はするけれど、元々食べる方ではなかったから、特に支障はなかったわ。
むしろ、周囲に心配をかけさせて、きずつないくらい。
レオが呼んでくれた島の魔物達――彼の友人のお陰で源泉から、水管を引いて湯量を調節することに成功したのは発見から、三日後には完了していたみたい。
そうレオから聞いたのは月の障りが終わって、ようやく人心地がついてからでしたの。
何でもわたしが寝込んでいる間に彼はやれることをやると決めていたらしく、わたしが喜ぶと思って、頑張ったんですって。
レオなりに必死に考えて、これしか思いつかなかったと悔しそうでしたけど、こんなに嬉しいことはないわ。
何もしてくれていないどころか、わたしはたくさん、貰いすぎなの。
どうやって、あなたに返せばいいのかしら?
障りが終わってもまだ、体調は万全とは言い難くて、結局、大浴場を
レオの新しいお家のすぐ隣に木造一階建ての丸太小屋をイメージして、建てたのです。
内風呂と外風呂を設けて、着替えのスペースも設置したのでそれなりに風格のある旅のお宿といった風情がありますわ。
そうですわ。
折角、大浴場が出来たんですもの。
これを使って、レオにお返しすればいいのよ。
うふふっ。
そう。
たっぷりと返してあげますわ~!
「ねぇ。レオくぅ~ん♪」
「リーナ。何か、悪いこと考えてるよね?」
顔に出てましたの?
わたしはあまり、表情には出ないと思っていたのですけど、おかしいですわ。
それともまさか?
「わたしはそんなに分かりやすいかしら?」
「うん。だって、リーナはものすごく感情豊かだよ」
それはあなたの前だけなんだから……とは教えてあ~げない。
それくらいは気が付いて欲しい。
我儘なのかしら?
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