第21話 夕食

 さて、夕食だ。

 今日は――――



「「「「「いただきます―――――――――ごちそうさま♥」」」」」


「ツ!?」



 夕食で並べられたディヴィアスの手料理を確認する前に、まさに数秒で全員が食べ終えた。

 自分はまだスープに手を懸けようとしただけだというのに……


「んもう、ジャーくん遅いよぉ~♥」

「あまりゆっくりというのは感心しませんね」

「ジャーくん、ラブリィが『あ~ん』してあげるね♪」

「まっ、味わって食べてくれるってのもうれしいわ。だけど……」

「今日は早く」


 いや、こやつらが数秒で食べ終わっただけだ。

 ここ数日の中でも特に早い。

 それは……


「それとも、ジャーくんはゴハンより、私たちの身体を食べたいのかなぁ?」

「おやおや、そのためにお腹を空かせておくと?」

「え~、ラブリィ、食べられちゃう? ジャーくんならいいけどぉ♥」

「そ、そうよね、今日は私の料理じゃなくて、私を食べてもらうんだから♥」

「ね、もうベッドいこーよ」


 そう、こやつらは忘れてはいない。

 自分が今日アネストたちと同行するにあたって出された条件を。


「~~~……分かっているとは思うが……最後まではせんぞ?」

「んも~、分かってるよぉ~、ジャーくん……でもさぁ~」


 もはや時間の問題……自分がこの五人と最後の一線を超えるのも。

 だが、可能であればもう少し先延ばしに……という意味を込めて改めて条件を口にするが、シャイニたちは再びハイライトの消えた目で……



「最後の一線越え意外だったら、何でもしていいんだよね? ナンデモスルヨ? ナンデモシテイインデショ? ダメデモスルケドネ♥」


「ッ……」



 寒気がした。

 嗚呼、駄目だ。

 もはや一線がどうのというレベルではなく、もはやそれと遜色ないレベルのことをされるのだろう。


「まだ……夕食が―――――」

「ジャーくん、そんなにお腹空いてるなら食べさせてあげるよぉ♥」


 その時だった。


「ッ、そ、そなたら!」


 五人全員がダイニングのテーブルの上に座る。何とマナーの悪い……というレベルではなく……


「ジャーくぅん♥」

「御馳走ですよぉ♥」

「ラブリィの食べてくれるよね♥」

「わ、私がここまでしてるんだから、ちゃ、ちゃんと食べなさいよ?」

「食べ放題♥」


 五人が半円を描くように自分の目の前で「開脚」しながら座っている。

 五人とも穿いているのは、スカートで、当然中が見えるというか……見せつけているというか……『穿いていない』のだ。


「こ、こちらは食事中だ。そのようなものを見せるではない!」

「だから言ったでしょ? 食べさせてあげるって」

「いらぬ。自分は――――」

「あ、もうゴメンねジャーくん、もう無理。今すぐ『あの条件』をここから始めて」

「ッ!? ぬ、な……ん……」

「やっぱりもう……我慢の限界だから」


 五人とも、いやらしい歪んだ笑みを浮かべて、頬を赤く紅潮させて蕩けさせている。


「ジャーくん……端から順に全部食べてね♥」

「さ、アナタ♥」

「んも~、ラブリィを早く食べてよぉ~♥」

「ねえ、……う~、ほら、これでどう? もっと食べやすいでしょ!」

「はい♥」


 そして五人はこちらが何も要求していないのに、両手で自分の両足を持ち上げて、そのままテーブルの上に仰向けになった。

 今すぐこのテーブルを叩き壊したい。

 この無防備極まりないこやつらを滅してやりたい。


 だが、自分にそれに抗う統べも無い。


 鼻息荒くして発情したメスガキ共を前に自分は……



「で、では……」


「こら、ジャーくん。ダメだよぉ? 食べる前は……いただきます、美味しく全部食べます♥ って言わないと……」


「……い、いただこう、そなたたちを余すことなく今宵は喰らおう」



 数千年生きて身に着けたあらゆり技術をもってして……



「「「「「♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」」」」」



 こやつらを昇天させ、自分はかつてないほど堕ちてしまった感覚に苛まれた。

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