第27話 孕
大魔王の尊厳も心も死んだ。
しかし自分は呼吸をしている。
つまり生物学的にはまだ生きているということだ。
そして、それはこれからも続く。
「あは♥ ジャーくんの温もり、匂い、もう一生手放せないよぉ。誰にも奪わせない」
「誰の邪魔もなく思いのままに愛し合う……なんと甘美な……火照りが未だに収まりません♥」
「これから毎日いつでもどこでも何度でもできるんだよね、ラブラブ~♥」
「ついに……シちゃった……そして、うふ、うふふふふ♥ もう、幸せ~!」
「男の子かな……女の子かな……楽しみ♥」
汗や『色々な液』にまみれた自分たち。
裸の自分の体中にまとわりつき、匂いを嗅いだり、頬を摺り寄せたり、意味もなく体中をキスしたりと、五人は飽きることなく自分を弄び尽くした。
心を無にして時が過ぎるのを待つということも、宝玉の力で邪魔され、自分は言葉や技術を駆使してこやつらを抱かされた。
時間も回数もあらゆることを無視して代わる代わる、乱れ、乱れ、入り乱れた。
そして……
「分かって……いるのか……もう、どうしようも……ないぞ?
「「「「「??」」」」」
余韻に浸る小娘たちに、自分は絶望の中で言葉を口にした。
もはやどうしようもない、取り返しのつかないこと。
自分との交わりは、ただの性的欲求や快楽を満たすだけでは済まない。
「魔族と人の……混血を……貴様らは……」
こやつらはそれを分かっていながらも、決して避けなかった。
だからこそ、今この5人は全員……
「うん、愛する人との子供なんて嬉しいよねぇ~!」
「ええ。ですが浮かれるだけではダメですね。私たちは勇者として戦のことばかりでしたが、今後の世で必要なのは勉強です」
「生まれてきた子の服を作ってあげたり、親子でお揃いの服を着たり……うぅ~、にやけちゃうよぉ~」
「今のうちに子供用の料理とか練習しとかないと!」
「早く抱っこしたい。名前も考えないと」
そして、五人は自身の腹を抑えて蕩けて妄想にふけっている。
宿した種が魔族であることなど、全てこやつらにはどうでもいい問題になっているのだ。
魔族と人間の混ざりものを何も気にしない……ならば世界は何のために戦争をしていたのだ?
「あっ、でもさ、もうこれで私たちは妊娠するわけだけど、全員同じタイミングだからお腹が大きくなったり出産時期は同じになっちゃうから、そのときは5人とも戦うのが難しくなっちゃうから、その辺りには対策必要だよね」
「それはそうですね。その頃には激しい動きはできなくなります」
「あー、そうなっちゃうと、その頃には激しいエッチもできなくなっちゃう?」
「あ、それもそっか……な、なら、まさに今のうちにヤレるだけヤッとかないとダメじゃない?」
「ん。おかわりタイム再開」
そして、こやつらの心配事は、所詮そんなこと。
まさに、なにも知らぬ世間知らずの頭の中身が花畑の小娘共。
自分は望まぬ形で子を作らされたというこの事態に、まだ心が落ち着かぬ。
だというのにこやつらは、ただ人形遊びをするかのように、また自分を弄ぼうと……
「やめよ……も、もう十分したであろう……これ以上は……」
「「「「「え?」」」」」
分かっている。自分の意志など尊重されぬことなど。
「何言ってるの、ジャーくん、まだ3回しかしてもらってないよ!」
「そうです。私は今日10回はするつもりです!」
「今まで騙してたぶんも含めたら、全然まだだよ!」
「大丈夫、少しずつ慣れてきたから私たちからも動くようにするから!」
「うん、ジャーくんの負担も減らす。共同作業共同作業♥」
本当にこういうとき、死ににくいだけでなく、性的なことも意識一つで無尽蔵にできてしまう最上級魔族という自分の体質を心底呪った。
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