第19話 おかえり
「あっ、帰ってきた! お~~~~い!」
「キャー、ジャ~くぅ~ん!」
「よかった。当然だけど、無事でホッとしたわ」
結局何事もなく帰ってきてしまった。
この国の兵たちを利用して宝玉解除がどうとか、そういう次元の話ではなかった。
「ただいま帰りました」
「お帰り~、アネストちゃん、キルルちゃん、ジャーくん、スーちゃん、で、どうだった?」
「バッチリ全部処理してきた」
「そうなんだ~、お疲れ様♪」
「お腹空いてるでしょ? ごはん作っておいたから。あっ、あとお風呂も準備できてるよ!」
人間たちを1000人殺した。
だというのに、そのことの詳細をもはやシャイニたちも興味なく、「全部処理した」という言葉だけで満足した様子。
こやつら本当に……
「スーちゃんもお疲れ様~。森でデッカイ獣を狩ったから、今日はスーちゃん好きなだけ食べていいよ~♪」
「ガ、ガウ」
スカイドラゴンのスーも色々と衝撃の連続だったであろう。
恐らく、こ奴自身も1000人を超える人間たちが集まっている場面を見ることも、それが目の前で隕石魔法によって消滅してしまったことも。
帰りなど、こ奴は飛びながらずっと無言だったからな……
「それと~、ジャーくんはお帰りのチュウ~~♥」
「あ、シャイニちゃんずるいよぉ! ラブリィもチュウする~♥」
「ちょ、待ちなさいよぉ! 私だってずっと待ってたんだから♥」
と、次の瞬間には、シャイニ、ラブリィ、ディヴィアスが一斉に自分に向かって飛びついてきて、抱き着いて、そのまま顔中を汚い舌で舐め回したり頬にキスしたりしてきた。
「ん~、おいひィ、やっぱジャーくんのほっぺた最高だよぉ~」
「あ~、早く思いっきり唇でペロペロ舐め合うキスしたいよぉ♥」
「ほんとにね。でも、それは皆で決めたでしょ? 月の日に全部……ご馳走は全部まとめてって♥」
そう、結局自分はどうすることもできず、ただアネストとキルルに同行してそのまま帰ってきてしまった。
だが、それでも収穫がなかったわけではない。
何故なら、アネストとキルルは容赦なく兵たちを全滅させた。
それほどのことをすれば、必ずやこの情報が世界に駆け巡るはず。
今回のことで、流石にこの国の者たちも「不干渉」で終わらせるはずがない。
より大きな規模、もしくは連合に救援を求めるかもしれない。
先日の逃走の失敗で、何をやっても逃げられないことは分かった。
よって、解放されるためには、やはりこやつらの誰か一人でも欠ける以外ない。
そうなれば――――
「さて、私たちはお風呂を頂きましょう。粉塵やら何やらで少し汚れましたしね」
「うん、汗もかいたし、虫の返り血とかも拭きたい」
「もちろん、ジャーくんも一緒に入りますよ?」
「ジャーくんの身体を隅から隅まで洗ってあげる。私の身体も洗ってもらう♥」
何としてもソレを利用し、この生活から解放されてみせる。
「風呂ぐらい自分で――――」
「ダメですよ。ご安心を。そこまで濃厚なイチャイチャはまだ求めませんから」
「うん、我慢する」
一緒に風呂……一緒にこやつらと裸の……いや……もう既に何度かやってはいるが、やはり慣れぬ……またあの悪夢のような―――
「そうだよ、アネストちゃん、キルルちゃん、今日のお楽しみはこれからでしょ?」
「ええ、分かっていますよ。簡単なウォーミングアップぐらいです」
「うん! ねぇ~、ジャーくん、約束覚えてるでしょ?」
「うふふ、私も楽しみすぎてずっとモゾモゾしてたんだからね!」
「それが楽しみだったから頑張った♥」
と、そこで五人が何やらいやらしい笑みを浮かべてこちらを見て……何だ?
「ジャーくぅ~ん、今日アネストちゃんたちと一緒に行くことの条件……忘れたフリはダメじゃないかなぁ? ま、忘れてても私たちヤッてもらうけどね♥」
「……あ……」
そうだった。
今日は風呂どころの騒ぎではない、最悪の罰が待っているのだ。
こやつら五人を、宝玉による命令ではなく、自分の意思で……結合以外の技術を駆使して満足させて、更には愛を囁くと……ぐぬぅううううう!
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