第12話 強制イチャイチャ
今の自分は「ただの死ににくい人形」なのかもしれない。
これほど簡単に死ねぬ魔族の身体を恨めしく思うことになるとは思わなかった。
かつて、男たちがまだ戦争の中心だった時代、捕虜となった女騎士や街娘たちが凌辱されるような外道行為は珍しくなかった。
ひょっとしたら、コレはそれと同じなのかもしれない。
死ぬこともできずに人形のように弄ばれて、誇りも何もかもを蹂躙される。
「えへへ~、ねぇ、ジャーくん、ラブリィに愛してるって告白して! ね? はい、告白しなさい!」
「……自分は……そなたを……愛している」
「ほんと! わー、嬉しいよ~~! 私もジャーくん大好き! 愛してる! 私たち両想いだね! じゃ、証明のホッペにチュウをジャーくんからしてぇ!」
心にもない言葉を口にして出すことを強制される。抗えぬ。
そして行為も同じ。
こやつらに捕らえられてからの共同生活で、自分はこやつらの玩具のようにされてしまった。
そして、こやつらは自ら責めるだけでなく、宝玉の力で自分からこやつらに手を出させて、愛を囁かせるような悪趣味なことをした。
今も、巨大なベッドで六人でくっついて毎晩過ごす。
時には一日中手を繋いだり抱き合ったりという無駄な日を過ごすこともある。
そして今もいつもと同じように朝を迎え、そして目を覚ました一人のラブリィが自分に命じてきた。
自分はラブリィの命令に従い、その頬に手を添えて、もはや何度目か分からぬ口づけを頬にする。
「ん~~~♥♥♥」
蕩けた顔で自分のキスを受け入れるラブリィは、やがて自らも両腕を自分の後頭部に回してきて……
「えへへへ~、ほっぺにチュウされちゃったぁ! 彼氏さんにラブリィはチュウされちゃったぁ! でも、いいんだよね! だって恋人同士さんなんだもん! だから、ジャーくんもぉ~、私にお返しのチュウを求めなさい♪」
嗚呼……死にたいとこれほど思ったのは初めてだ……
「ラブリィ……お返しに自分の頬にもそなたのキスが欲しい」
「んもぉ~、ジャーくんったらぁ~そんなに私が好きなんだ~、そんなにおねだりされちゃったら、チュウしてあげちゃうゥ~♥」
自分で命令で言わせておきながらも、まるで天にも昇るような蕩けた表情でラブリィの唇と唾液が自分の頬を汚す。
「ん、ちゅぶっ、ん~、ジャーくんの頬っぺたおいひィよぉ~♥」
しかも、キスどころか、舌が……更に唇で頬を吸ったりと……鳥肌が!
「あは、唇にしたいなぁ~……本当のえっちなこともしたいなぁ~……でも、もうちょっと……もうちょっと……う~、でもぉ♥」
さらに、まだ喰い足りないと飢えて発情した雌が自分に寄ってくる。
しかし、まだ喰ってはならんのだと理性(?)と葛藤している様子。
「ジャーくんと結ばれるのは……満月の日じゃないとダメなんだよね……あと二週間……うぅ~~~~」
とりあえず、自分のあの発言が最後の防壁となっているのだけはありがたいことであった。
しかし、徐々にそれも危うくなってきている。
ラブリィは目を血走らせ……
「ねぇ、ジャーくぅん……先っぽだけ……なら……だめかなぁ?」
「それは絶対にソレだけで済まぬ言葉であろう!?」
「う~、ケチィ……いいもん。満月の日は覚悟だよ? とりあえず今は……もっとチュウ~♥」
その言葉は普通男が言うものだと思っていた。
すると、そのときだった。
「ん~……あ~、おはよー、ジャーくん。朝一番のチュウはラブリィちゃんに取られちゃったか~」
「ん? あ、アナタ!? ラブリィ、ず、ずるいです! さ、ラブリィ交代です! 私にもおはようのチュウを彼とさせてください!」
「ぷはっ♥ ん~、もうちょっと~♥ 私、朝は5分は休みなくジャーくんとチューするって決めてるから♥」
「ほんとズルいわね~……んふふ~、なら、私は反対側のホッペを~♥ って、あーーー、キルル!?」
「んふ♥ 先に戴いてる( ´∀`)bグッ! ちゅっ、ぺろぺろ♥」
夜通しずっと絡み合って迎えた朝、結局こうして朝もまた絡み合う。
気づけば他の四人も次々と自分の身体に触れて、身を寄せて来て、そして満足するまで朝を過ごす。
まさに地獄のような生活。
しかし、自殺することもできぬ以上は受け入れるしかない。
せめて、こやつらが飽きるまで……もしくは、こやつらの命が尽きるまで待つしかない。
唯一の救いは自分とこ奴らでは時間の感覚が違うこと。
長命種ではないこやつらの生涯など、自分にとっては――――
――あとがき――
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